【二十二歳】

 海が波立つように、気がつけば自然とアンドレアスとの交際が始まると、私はアンドレアスの贈り物ばかり見るようになった。

 きっとどの世界でも、私はアンドレアスと結ばれていたのだろう。


 アンドレアスは私の『贈り物』を好意的に理解してくれた。

 彼は贈り物についてまるで最初から知っていたかのように全てを受け入れ、私は自らが説明する手間が省けたとすら思っていた。



 私の母はいずれ私を理解し、一生涯守ってくれる人が現れることを願っていたが、それは叶ったと言っても過言ではないだろう。


 金髪で癖っ毛のアンドレアスに、黒髪でストレートの私。


 正反対な二人はそれぞれ白のタキシードに黒衣の振袖をまとい、同僚や顔なじみの客達に囲まれ、貸し切りにした店でささやかな結婚式を行った。


『雪子=ブレメンテ』


 私は篠崎の名を捨て、この幸せの絶頂から私の第二の人生が始まった

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