【二十歳】

 自慢ではないが、私は店でも悪くない売上をあげていた。

 持ち前の話好きに加え、贈り物が『不思議な子』というキャラクターとして定着してウケがよかったからだ。


 がくはなかったが、それはそれで教えたがりの客が付き、自分よりも下に見える相手と話すのは気分が良かったのだろう。


 そしてついに私は待望の日を迎えることとなる。

 その客の名前は『アンドレアス=ブレメンテ』。

 ドイツ人の青年で、とある商社に勤めていたところ、先輩の紹介でなかば強引に店を訪れることになった。


 今まで贈り物で漠然ばくぜんと見ていた人影だったが、私は一目見て今まで見てきた『この人』だと理解できた。

 まさか外国人だとは思ってもいなかったが、それでも念願の出会いが叶う機会が訪れたのだ、絶対にこれを逃してはならないと強く決意した。


 私の運命の出会いはこの時、果たされた。

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