【十七歳】

 中卒でろくな就職先もないうえに、地元では篠崎家の息のかかった企業ばかりだったため、私は田舎を離れることにした。


 贈り物をもとに選んだ仕事は水商売だった。

 元来がんらいは話すことが好きな性分しょうぶんだった私とも相性は良く、贈り物で事前に客の好みなどを知って対応することもできた。


 世間での評価はとても良いとは言えない職業という認識はあったが、それでも別の世界の自分が選んだ仕事なのだからきっと幸せになれるのだろう。そう思って働くことにした。


 また、この頃から私は特定の男性を贈り物で見ることが増えてきた。

 きっとどの世界の自分とも縁のある人物だろうが、どこかぼんやりとしていて姿がしっかりと見ることができない。

 それが誰なのか、いつ出会えるのか、私にとってこの贈り物は運命的な恋のように感じていた。

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