童話 町の守り竜フィアとユフィ

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 あるところに、仲の良い双子の竜がいました。

 その竜の名前は、フィアとユフィ。


 二匹はいつも一緒に行動して、仲良く暮らしていました。

 両親の母竜と父竜はいません。


 二匹が幼い頃に、病気で亡くなってしまったからです。


 それでも、寂しくはありませんでした。

 ユフィとフィアは互いを支え合いながら暮らしていたからです。





 そんなある日、二人の元に人間の男が訪れました。


 その人間の名前はシンフォとユニオン。


 彼等は双子の竜に頼みごとをします。


 どうかうちの村を守ってほしいと。


 彼等が住んでいる世界には、たくさんの怪物がいました。


 怪物は人間達を襲う、とても怖い生き物です。


 力もとっても強いので、普通の人間では太刀打ちできません。


 だから、シンフォとユニオンは、双子竜の手助けを得ようと考えたのです。


 竜は人間よりも、ずっと強くて逞しいので、怪物に負けないと思ったのです。






 しかし、フィアとユフィは、戦いを知らない竜でした。


 普通なら、両親から狩りの仕方を教わり、自然と怪物との戦い方も身につくのですが、そんな経験をしてきませんでした。


 だから、彼女達は力になれないと言います。


 それを知った、シンフォとユニオンはがっかりしてしまいました。


 可哀想に思った双子の竜たちは、なんとか力になれないかと考えます。






 その日から、双子竜は他の竜を観察して戦い方を学びました。


 上手な狩りの方法や、怪物たちを追い払う方法、威圧する方法。


 それらを学んだ双子竜はぐんぐん強く、逞しくなっていきます。


 これなら、人間達の役に立てる。


 そう思った、フィアとユフィはシンフォとユニオンが住んでいる町へ向かいます。






 そうして、双子竜が到着した頃、町は怪物たちに襲われている最中でした。


 町の人たちは必死に戦いましたが、強力な力を持つ怪物が相手では手も足も出ない状況です。


 シンフォとユニオンも、人間たちの中では力の強い方でしたが、それでも怪物にはかないません。


 人間達は誰もが、絶体絶命だと思いました。






 しかしそこに、双子竜が降り立って、怪物たちを蹴散らします。


 町の人たちは、間一髪で助かったのです。


 助けてくれた双子竜に感謝した町の人たちは、たくさんのお礼をしました。


 美味しい食べ物や、綺麗な宝石などを見つけては、竜にプレゼントします。


 それらを受け取ったフィアとユフィは、すっかり町の人たちを気に入ります。


 だから双子竜はそれからもずっと、その町の人たちを見守りながら生きていきくことにきめました。




 それ以降、人と竜は仲良く暮らすようになり、互いに助け合って生きていくようになりました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

童話 町の守り竜フィアとユフィ 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ