第4話 にゃにゃーん大王

真っすぐ奥まで伸びている洞窟を二人は、慎重に進んでいく。最奥に明かりが見えると足早に駆けていき、しゃがんで近寄り中の様子をうかがいだした。


少し広くなっているそこにはゴブリンの姿はなく、荒縄で縛られた長い金髪に猫耳を生やした女性が横たわっていた。彼女は白の下着上下以外何も身に着けていない。パンツからは長い金毛の猫尻尾が伸びている。二人は勇んで近づくと

「おい?お前がボスだな」

「部下に裏切られて捕らえられたのね」

猫耳を生やした女性は目を開けると

「や、やっと、た、助けが来たのですね……」

へこみちとポエミーはニヤニヤしながら

「演技がうまいな」

「そうね。これから首と胴体が離れるとも知らずにね」

しばらく猫耳の女性は固まると

「た、助けでは、ない?」

へこみちはよく日に焼けた顔でニカッと笑い

「お前の部下のゴブリンは皆殺しにした」

ポエミーは爽やかな笑顔で

「森も燃えてるのー夜空を赤く染めてるわー炎神への捧げ物なのー」

いきなり歌い出した。女性は次第に恐怖の表情になり

「こ、この人たち、狂ってる……」

と小声でつぶやくと

「な、なんとかしなければ……」

全身から冷や汗を流しながら必死に考え、意を決した表情になり、縛られたままその場に上半身を起こすと

「ごほんっ」

軽く咳払いをして、耳まで真っ赤にしながら

「いかにも、私がここのボスのにゃにゃーん大王だにゃ!」

か細い声を荒げて宣言した。さっそく布の袋からノコギリやナイフなど解体用具を取り出しだした二人に慌てて

「まっ、待つにゃ!私を傷一つなく生かしてブルー王に捧げれば!お前らは大金を得るにゃ!大金持ちだにゃ!」

へこみちがピクリと反応して、女性を見ると

彼女はホッとした表情をしたあとに

「私はキャットーン族の王族だにゃ!捕らえたらブルー王がお金すんごいくれるにゃ!」

へこみちはポエミーに

「どうする?罠か?」

ポエミーは腕を組んで、女性の周囲をしばらくグルグルと周ると、いきなりその横にしゃがみ込んで

「へこみち、ちょっと後ろ向いててね。罠がないか、警察的な検査で確認してみる」

「わかった。警察的な検査だな。俺は紳士だからな、こんなとき、紳士は黙って後ろを向くものだ」

へこみちが後ろ向くと、ポエミーは女性の耳たぶから足元の指まで丁寧に揉みしだきながら、下着の中に手を突っ込みだした。

「あっ、ちょっと!やめっ!あっ……」

女性の喘ぎ声が洞窟内に響き渡る。


1時間後。


深夜で誰もいない王都グリグランの王城へと続く大通りを、下着姿で縛られ、うなだれた女性がへこみちとポエミーに連行されていっていた。両手にかけられた縄を誇らしげなポエミーに引っ張られている女性は小声で

「がんばれー……私。がんばるのです……あとちょっとです……」

と言いながらフラフラと裸足で歩いていく。

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