第3話 夜襲をしよう
へこみちはポエミーを肩車したまま進み、王都グリグランから数キロメートル西の森へと入っていく。すでに辺りは暗いがへこみちは明かりをつける気は無さそうだ。
「この辺りはよく知っている。発見してから1年、討伐を我慢した」
「さすがね。レベル上げしてたんでしょ」
「ああ、絶対に負けたくなかったからな。今日の夜襲でけりをつける」
鬱蒼とした夜の森を分け入って進んでいくと明かりが見えて、茂みと木々に隠れながら二人は近づいていく。
ポッカリと崖の下に空いた洞窟の周囲では、緑の肌で小柄な十数匹のゴブリンたちが酒宴をしていた。へこみちはそれを見るなり渋面で、血塗られた棍棒を抜き
「リア充どもめ……許せんな。魔物どもが起きていたら夜襲ができない」
ポエミーも頷いて
「奴らの酒に放火して、炎神への供物にするしかないわね」
マッチを懐から取り出し、へこみちの肩から音もなく降り立った。そしていきなり
「とうっとうるっとうー私はポエミー吟遊詩人ー」
と歌いながら、四つん這いで茂みから這い出していった。へこみちも棍棒を構えながらそれに続く。
5分後には四つん這いで這い回るポエミーがゴブリンたちの酒を放火しながらそこら中に撒きまくり、へこみちはパニックを起こして逃げ惑うゴブリンたちを瞬く間に撲殺していき、洞窟の周辺は鮮血と火炎で地獄のような光景となった。
さらに煙の臭いに驚いて洞窟内から飛び出してきたゴブリンたちをへこみちは待ち構えては撲殺していく。ゴブリンたちの死体の山がそこら中にできた頃に、へこみちとポエミーは満足した表情で
「よし、夜襲を始めるぞ」
「そうね!ようやく夜襲ができるわ」
と頷き合うと、足音を忍ばせて、魔物の気配が全くなくなった洞窟へと入っていった。
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