第4話 少年と施設

◆少年と施設


 時々、背中がムズムズする。

 羽が生えてきそうな感覚はあるにはあったが、それだけだった。いつまで経っても羽は生えてこない。

 そんな時だった。

「僕もそうなんだ」

 と寄って来る男の子がいた。隣村から転校してきた子だった。

 白い服を着ていて、その背中には羽が無かった。

 ピノは飛び上がりそうなくらいに喜んだ。男の子だったが、ようやく自分と同じ境遇の子に巡り合えた。そう思った。

「私たち、一緒だね」ピノはそう言って喜んだ。

 彼の話を聞くと、彼もピノと同じように差別され続けていた。

「こっちの村に来ても同じだな」

 少年はそう言った。その意味は異なった村でも同じように迫害を受けると言うことだ。


「どうして、僕がこの村に来たか分かるか?」

 少年はそう切り出した。

 ピノが首を傾げると、少年はこう言った。

「この村には、親族のいない子供を入れる施設があるんだ」

「その施設、知っているわよ」ピノはそう答えた。

 その施設では、羽が生えて来ず、その事を苦にした親が子供を捨てた場合、その子は見なし子になる。

 残酷なようだが、この世界では、どちらが親権者になるという制度などない。親が子供を捨てれば、親と子供の縁は切れたことになる。それは親を救済する制度だ。

 そんな子供を収容しておくのがその施設だった。

 もちろん入居者は子供ばかりではない。ずっと羽のないまま、大人になり、果ては老いた人間もいる。

 だが入居者はほんの数名だ。

 羽が生えない人間は、その村に三年に一人、いや、もっと少なく、10年に一人くらいしかいない。

 ピノと少年はその一人だった。

 少年の両親は、少年との縁を切る相談している最中だった。このまま話が進めば離縁は確実だ。

 だから少年は先回りをして施設のあるこの村にやって来たのだ、と説明をした。


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