第3話 学校
◆学校
羽の無い子であれば、羽が無いのを隠せばいいのではないか。
そうも思えたが、村のしきたりには羽の無い人間とある人間を差別化するために、その服の色を変えている。
生まれた時は、みんな黒いローブではなく白い服を着ている。成長し、黒い羽が生えると、黒いローブを与えられる。
だから羽の無いピノはいつまでも白い服を着ていた。綺麗な衣装だが、白い服は、村の中では不吉な忌み嫌われる服だった。
黒い羽根付きの村では、成長した子供の白い服はかなり目立つ。というか、そんな人間はピノくらいだった。
ピノはそれでも学校に通った。
皆の白い目線を受けながらも、授業を真面目に受けた。そのせいか成績は良かった。
成績は良かったが、ピノの優秀さはどこにも発表されなかった。羽の無い子が、黒い羽のある子よりも成績が良いなどとは、あってはならないことだからだ。
教師はピノの成績を隠した。もちろんそれは校長も知っている。
当のピノは、成績が良いことを公表されることを望んではいない。そんなことを同級生が知れば、更に嫉妬で皆から迫害を受けることになるからだ。
ピノは何度退学しようと思ったことか。
それでも学校を去らなかったのは、この村で他にも羽の無い子が生まれた時、自分の勉強してきたことが役に立ち、この村を差別や迫害のない世界にするという目標があったからだ。
そんな目標があっても、羽が無い事はつらい。ピノは勉強をしながら毎晩泣いていた。
黒い羽根族の少女(短編) 小原ききょう @oharakikyo
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