：「還暦介護福祉士どうすりゃいいんだ？」

第12話

第十二章：新たな住処

オオカミ少年の退院が目前に迫る中、憲作たちは彼の住む場所を探すことから始めた。これまで住んでいた家を解約してしまった以上、まずは新たな住処を確保する必要があった。

「次は訪問診療の先生を探さないといけない。市が変われば介護時間の配分も変わるし、ケアマネも計画相談員も一から探さなきゃならない。」

やらなければならないことが山積みで、何から手をつければいいのか見当もつかない。唯一決まっているのは退院の日取りだけ。憲作は心の中で呟いた。

「もうむちゃくちゃだ…」

新たな住まいの確保

そんな混乱の中、知り合いの不動産屋に相談したところ、隣の市に空き物件が見つかった。単身者用のコンパクトなアパートで、家賃も手頃だ。これ以上の条件は望めない状況だった。

「なんとか住む場所は確保できたな。」

しかし、ドクターが要求している「24時間介護」という条件が重くのしかかる。介護保険でそこまでの時間を確保できるのか、訪問介護の提供体制をどう整えるのか、これからの交渉次第である。

「こんな条件、本当に現実的なのか？」

憲作は疑問を抱きながらも、次々とやるべきことに取り掛かった。

支援体制の再構築

まずは新たな訪問診療の先生を探すことから始めた。市が変われば担当エリアも変わるため、前の先生には頼ることができない。さらに、ケアマネージャーや計画相談員の手配も必要だ。

「退院の日だけは決まっているのに、肝心な支援体制が何も整っていない。」

憲作は手探りの状態で、各機関に連絡を取る日々を送った。

憲作の覚悟

新たな住まいが見つかったことは一歩前進だったが、それだけでは問題の解決には程遠い。オオカミ少年が安心して生活できる環境を整えるためには、まだ多くのハードルが残されている。

「でも、諦めるわけにはいかない。どんなに無理があっても、彼が新しい生活を始められるように最善を尽くすしかない。」

憲作は心の中でそう誓いながら、次の一手を考えていた。