訓練
なんとか大事を避けミュータントの支配域から抜け出した2人は今までよりも広く少し明るい場所へと流れ着いた。
「随分と立地が良い…他の勢力が利用している可能性もありますね、周囲を警戒します」
「頼んだ」
少しして周囲の確認を終えたであろうY-KNOが戻って来る。
「おかえり、どうだった?」
「軽く見てきましたが現状は特に脅威は確認出来ませんでした」
「なら少しここに滞在しないか?さっきのミュータントの件もあったんだ、いざって時の為にも今一度武器の扱いを確認しておくのは悪い事じゃ無いだろ?」
「そうですね、私のこれも偶には使わないと錆びてしまいますし」
そう言って人で言う脇腹の辺りの隙間からジャラジャラとした長い鎖の先端に鉄の塊が繋がれた不思議な見た目の武器を取り出す。
「鎖分銅ねぇ…」
「古風なんて言わせませんよ?変わらず優秀な物は残り続けるんです」
「じゃあお前は1台限りで終…」
言い切る前に彼の右頬を分銅の先端が掠め去り背後の外壁へ突き刺さった。
「何か言いました?」
「悪かったって…」
「今身を以て感じていただいた様に鎖分銅は強力ではありますが、使い手の技量次第で性能が大きく変化する武器です」
「鎖を長く持っていれば遠距離攻撃も可能で鞭のように縦横無尽に操作する事が出来れば中遠距離は完全に私の距離でしょうね」
「接近されても分銅部分を直に持てば鈍器にもなりますからねッ!」
Y-KNOが遠くに立てた石標に分銅を投擲する。
みきおが横槍を刺す様に自身の羽織っていた上着を分銅の延長線上に投げる。
分銅の先端が上着に絡まった途端に勢いを無くし力無く地面に落下する。
「あ〜!」
「鎖系の武器は広がる布が弱点、こりゃ致命的だな」
「別に対人なんてしませんし〜!服着てる外敵なんてそうそう居ないから良いんですゥ!」
「分かったって…まぁそれで勝てるなら、別に何でも良いけどな」
みきおは分銅をY-KNOに投げ返すと自身も電工ナイフを取り出し素振りを始める。
1人と一機が素振りをし続けてから数分程経過すると何処からかバサバサと風を切るような奇怪な音がこちらへと近付いて来るのが感じられた。
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