第9話「強欲の悪魔(1)」

前書き

どうもシロニです、よろしくお願いします。




「前回のあらすじ!」

明かされるトウコの過去、漫画家を目指す理由、○○とは一体誰なのか?

そして相変わらず自由なソル、今までどこに行って何をしていたのか?

トウコを狙う黄金の手足をした謎の少年の正体とは?

◇ ◇ ◇

「皆様〜♡もう下校時間でございますよ〜?だというのにコソコソとこの部屋に隠れて何をしていたんですかねぇ〜?」


っ...!?ソル...!?あんった...ほんっとに...心臓に悪いのよあんたぁぁぁ!!

「ん〜♡皆様のとても良いリアクションを拝見することが出来て大変満足でオゴッ...」


あっ、トウコが光の粒子の腕でソルのことを拘束してる、あっ、ロミオもそれに続いて笛を吹いて植物のツルを出してソルのことをシバいてる。

ロミオが笛を吹くと植物のツルがまるで鞭のようにうねって、次の瞬間凄まじい音を発しながらソルの身体に打撃を与えていく、ロミオのあれは召喚術の類だったのかしら?ツルが小さな光のゲートから出てきてる。


「誰だテメェ!?マジでなんなんだよ!?」

「誰なんスかあんた!?てかロミオさんの顔こっわ!?ちょっ、さすがに2人ともやりすぎじゃないスか!」


ソルに驚いたティムとルゥが2人の攻撃から避難してテーブルの裏に隠れてる、ルゥは耳が垂れてるからあの子かなり驚いてたみたい、尻尾の毛も逆立ってる。

あとあの2人が怒るのも分かるわ、ソルの行動は完全に不審者のそれ、だって扉も窓の鍵もちゃんと閉めてたし音もしなかったのよ?なら侵入者を攻撃するのは当然。


ロミオは侵入者からあたしたちを守るために攻撃、トウコもあたしたち、特に仲が良いルゥたちにすら狐の姿を見られるのも嫌がってたぐらいだから、トウコ視点で初対面の不審者でしかないソルに対してキレるのは筋の通った話よね。


「うーん、火力が足りませんねぇ〜もっと強くお願いできません?この程度の攻撃力ではダメージが...」

「はぁ!?ふざけてんのかお前ぇぇー!?」


ちょっとあんたさすがにもう黙りなさいって、あたしはあんたの煽り癖に慣れてるからいいけどトウコたちは慣れてないだろうから火に油なのよ!


「はいお嬢様、すみませんねぇ〜皆様〜?この私、他人をからかうのが好きな性格なもので...♡」

「なめてんのかテメェー!?」

いい加減にしろ。

◇ ◇ ◇

それからもトウコはソルのことを攻撃し続けていた、ソルは尻とかみぞおちとかをトウコの妖術で攻撃され続けていたけど、全くダメージを受けている様子がなくて暖簾に腕押し状態だったからトウコも不貞腐れてソファーの上に寝転んでしまった。


「もうやってられっかぁ!!」


でもあたしは攻撃がソルの股間に命中しそうになった時、あいつが腹に攻撃が来るように微妙に魔術で調整していたのを見逃さなかった、あんたダメージは受けなくともそこを殴られるのは嫌なのね。


「...ともかく、あんたほんとになにやってんのよ?あたしはともかくよそ様をあんたの奇行に巻き込むのは止めなさい?」

「はい、かしこまりましたお嬢様」


するとソルはルゥたちに向かって一礼をし、先程とは打って変わって礼儀正しく、上品な言葉使いで謝罪の言葉を口にする、その言葉の意に嘘偽りはないことはソルをよく知っているあたしが保証した。


「あたしからも謝らせてもらうわ、こいつは悪い奴ではないんだけれど、人をからかうのが大好きな性質(たち)なの、ごめんなさいね...」

そして4人は仕方ないなといった様子で謝罪を了承した、その時トウコがハッとした様子で起き上がり叫ぶ。


「あっ...あぁー!?お前!お前だろお嬢が言ってた変態従者!」


そういえば確かに前にトウコにソルのことについて軽くだけど話してたわね、でも他の2人には話ではないし、今ここで自己紹介させておこう。


「はいお嬢様、ルゥ氏は私とは初対面ではありませんが、自己紹介はまだしておりませんでしたよね?ちょうどよいのでお聞きになってください」


そしてソルは軽く咳払いをして声を整える。

「私の名前はソル・コアツィルスと言います、リグルディアお嬢様の忠実なる左腕であり、忠誠を捧げし従者でございます、どうか以後お見知り置きを」


そしてソルはニコッと笑い一礼する。

「へぇ、リグルディアさんの従者さんだったんスか、ところで姐御たちのあんなん受けてなんでピンピンしてるんスかあんた」

「そうですね、皆様を驚かせてしまったお詫びに私の秘密をお話いたしましょう、くれぐれも他の方たちには秘密でお願いいたしますね?」


するとソルは部室の机の上に乱雑に置かれた様々な道具の中から1つのカッターを指さす。

「これお借りしても?」

トウコが了承する。

「では...お嬢様、ここお願いします」

するとカッターを手に取ったソルは刃を出してカッターをあたしに渡す、そして手首を内側を向けてきたので。


「いいわよ」

遠慮なく、やった。

「えっ」


4人がほぼ同時に、ほぼ同じリアクションをとる、あたしはソルの手首を遠慮なくカッターで切りつけるが本来起こるべき結果は訪れず、傷の一つもない綺麗な肌がそこにあっただけだった。

「えっ、ちょっと...!?な、なに...やってんだよお嬢!?」

トウコがあたしに向かってそう叫んで、ロミオがすぐさまソルの元に駆けつけてソルの手首を確認する。


「き、傷...!?早く治癒の魔術を...!魔術...を?」

他にもルゥとティムがあたしの元に駆けつけてすぐさまカッターを取り上げる、ていうかルゥ貴方早いわね、猫凄い。


「なにやってんのディアちゃん!?」

「ほんとっスよぉぉぉ!?なんで俺理由聞いただけなのにこんな怖いことすんのぉぉ!?」


しまった、あたしはこいつが傷つかないのに慣れてたから遠慮なくやったけどルゥたちは知らないんだからせめて一言先に言っておくんだった...!


「大丈夫!みんなほんとごめんなさい!やる前にちゃんと先に言うべきだったわね!こいつはいくら攻撃しても傷つかないやつなのよ!」

「どういうこと!?ちゃんと説明してよね2人とも!」


そして...しばらくして4人が安心したところで。

「見ての通り私、傷つかない体質なものでして」

そういえば、あたしもこいつがなんで傷つかないのか知らなかった、今までなんとなくこいつを受け入れて、なんとなくこいつと付き合ってきたけれど、あたしずっと自分の傍に居た従者のことを何年も経ってから知るのね...


「お嬢様に話すのもこれが初めてでございますね、私は超人的な再生能力を持っております、なので攻撃されたところで痛みも感じる暇もなく受けたダメージが一瞬で回復してしまうのです」

再生能力?痛みを感じることもなくダメージが回復!?


「はい、そのせいか私は生まれつき痛覚が鈍く、この特性のこともあってお嬢様と出会うまでは痛みというものを感じたことがなかったのです、煽り癖も基本負けないのでいつの間にか身についてしまいまして...」

「そうだったんだ、でもなんでディアちゃんの攻撃では痛がってたの?」

そうだった、貴方、全部見てたのよね。


「それはお嬢様の魔力が込められた攻撃を受けると魔力が作用するのか、それとも何かほかに理由があるのか、再生が遅れてしまうのですよ」

なんですって...?あたし、ソルに対して相性有利...ってこと!?

「はい、なので私は痛みという感じたことのないものを感じさせてくれるお嬢様のことを、心の底からお慕いしております!」

「キモいわ」

「んっ...♡(まぁ、理由はそれだけではございませんが)」

「んっ?ソル、あんたなんか言った?」

「いいえ〜?」

なに目線逸らしてんのよ、こっちみなさいよ、見なさいってば。


「ふーん?まぁ...じゃああたしも一応軽くしとくか、あたしはトウコ、見ての通り狐だ、勝手に誰かに言ったらぶっ殺すからよろしく」


「あっ、じゃあ自分も、俺ティム!プロゲーマー!「フェニックス」所属ッス、よろしく!」


「おやおや、私の名前はロミオ、見てくれはサテュロスだが実はインキュバスなんだ、よろしく頼むよ」


「僕はルゥ!知ってるとは思うけどコンプレックスだよ!でもディアちゃんを傷つけるようなことはしたいから、改めてよろしくお願いします!」


4人とソルが簡潔に自己紹介を交わす、今知ったけどティム、貴方プロゲーマーだったのね?学業との両立ってどうなのかしら?気になるわ。


「おやぁ?ロミオさんはインキュバスでしたか、ハーフということでしょうか?」

「その通りさ!父がサテュロスで母はサキュバスだよ」

「あぁ〜なるほど、珍しいですね、サキュバスが異性に惹かれるなんて」

たしか同性を愛する種族なんだったっけ?


「えぇお嬢様、思っている通りでございます、ですがインキュバスとサキュバス族はぶっちゃけると性別で呼び分けてるだけで異性を愛さないわけではないんですよね」

そうなの?同性を愛するとか言われたから異性とはほとんど絡まない種族なんだとか思ってたわ、認識を改めましょう。


「まぁそもそも私たち魔族は生態が色々と不可思議なところがあるから、そういうものなんだと思ってくれたまえよお嬢さん」

へぇ、なるほど?じゃあそういうものと思うことにしとこっと。


「なぁ、ところでお前どっから入ってきやがったんだ?鍵は閉めてたぞ?」

「あぁ、それはですねぇー窓の鍵をピッキング魔術で開けてこっそり入りました♡」


なにやってんのよあんた、ここ3階よ?扉から普通に入ってくればいいでしょうが、なんでいちいちトンチキなことしないと気が済まないのよ。

「だって面白くないじゃないですか」


だからって不審者みたい...レベルの高い不審者みたいなことするなって話しよ、あたしが責任負うのよ!?

「わぁ、色々と凄いんだねソルさん、廊下の足音に意識を向けさせてその間に侵入するなんて、魔力の気配とかなかったし僕の耳でも窓を開ける音も聞こえなかったよ」

「ん?足音?何の話です?」

ん...?

「君たち!下校時刻はとうに過ぎているぞ!早く帰りなさい!」


その時、突如部室の扉が開いて1人の男性が部室の中に入って来た。

「ぎゃあぁぁぁぁ!?(×6)」

白髪に眉間に少しシワのある厳格そうな顔、白く長い顎髭にベージュ色のスーツ姿、細く、長い耳の容姿の彼はエルフ族、そしてこのマーリン魔術学校にて術式刻印の授業を担当している「クラーベス先生」、年齢1121歳のおじ様先生だ。


「またお会いしましたねクラーベス先生」

「おやソル殿、またお会いしましたな、それはともかくもう下校時刻はとっくにすぎているぞ君たち、早く寮に帰るか自宅に帰りたまえ」


この先生は厳格なカタブツであることで有名、しかしどこまでも生徒想いでの真面目な先生であることは生徒や教職員たちにも広く知られている。


「なんだぁクラーベス先生かぁ...たしかにもうこんな時間、ごめんなさい先生僕たちすぐに寮に帰ります!」

「クラ先ごめんなさいッスよ〜でもうちの姐御の大事な話聞いてたから許して〜?」

「ふむ、大事な話?」


あっバカ、あんたトウコが狐の正体を隠してるの知ってるでしょうが!

「あっやべ」

ってトウコは!?そういえば狐のままだったわよね!?

「...?あぁ、トウコくん、その姿から察するに君は友達に自分のことを話すことが出来たようだね」

「...おぉ」


あれ?先生もしかしてトウコが狐だって知ってたの?

「当然知っているとも、というか全教職員はトウコくんが狐であることは知っているぞ」

「そりゃそうだろお嬢、あたしが学校側に種族を偽って入学してたら大問題だろ?」


あ、まぁ...それはそうよね、それなら当然クラーベス先生が知っているのは当たり前よね。

「ふむ、誰でも分かるとは思うがね」

ぐっ...!あっ...!先生それ言わないで!今気がつかなかった自分が恥ずかしいところなんだから追い打ちはやめてちょうだい...!


「まぁそれはそれとしてティム、お前は迂闊な奴だなぁ...?」

「ヒェッ...マジでごめんなさいッス...!」

「ティム君は相変わらずだね、クラーベス先生、部室を出る前に後片付けをさせてもらっても?」

先生の許可をもらいあたしたちは、部室の後片付けの後それぞれあたしとソルは屋敷に、先生は4人を寮に送りに分かれた。


「ディアちゃん、また明日ね!」

「えぇ、ルゥも貴方たちも、また明日会いましょう」

その時クラーベス先生があたしのことをじっと見ていることに気がついた。

「先生...?私の顔になにか糸くずでも付いていまして...?」

「ん?いや違うよ、ただ...」

ただ?

「なんだか今の君は我が校に入学した時よりもスッキリとしたような顔...そうだ、先程も表情が生き生きとしていると思ってね」


えっ...?その、あぁ...改めて人から指摘されるとなんだか照れるわ。

「恥ずかしがらなくとも良いさ、それは悪いことでもなく素晴らしいことだ、今後も君がそのように笑えることを祈っているよ」

◇ ◇ ◇

「フフッ...お嬢様〜♡その表情、素敵でございますよ〜」

「あぁもう、見んじゃないわよソル、見ないで」

「えぇ〜?」


んもぅまったく、そんなにニヤニヤしちゃって...

「ところでソル、貴方授業の後はどうしてたのよ?」

「そうですね、あの後はクソガキのお二方を職員室にぶち込んだ後、少し私事がありまして...」


ソルのことだからサボっていたわけではないんでしょう、こいつは変態だけど仕事をサボるような性格でないことは私が1番よく知っているつもりだから、あの後帰って来なかったこと自体は気にしてはいなかった。


「あんた、今日の防衛魔術の授業中なんかおかしかったわよね?いつもはからかうようなことをしてもあたしの属性や見た目のことをネタにするなんてしないのに、疲れてたりするの?」

「んん〜そうですね...実は私昨日のルゥ氏の発言が気になってしまいまして、リグルディアお嬢様の身になにか良からぬ事が降りかかろうとしていると考えていたら一睡も出来ず...」


は?あんたまさか今徹夜なの!?

「はい♡ぶっちゃけ眠いですし段々と再生能力の効率も落ちてきていてキツいです♡...ムニャム...っあ」

「んもぉぉぉぉ!あんた帰ったらさっさと寝ること!いい!?」

「はい...」


いや、ちょっと待って?こいつがこんなんなら誰が馬車を引かせるわけ...?え?お父様に今から連絡して代わりの迎えを向かわせるようにお願いしても、今使える馬車ってまだ屋敷にあるかしら?


「んも〜!あんたねぇ〜!」

「申し訳ございませんお嬢様...」

はぁ...まぁあたしのことを想っての事が理由ならあたしは怒らないけど...どうしようかしら。


「お嬢様、今夜は女子学生寮に泊まらせてもらうように連絡しては?(初めての女友達とのお泊まり会も体験出来ますし)」

「なんか含みがない?」

「いいえ」


えぇ...そんなの...急に言われてもトウコも困るわよ...

「私も屋敷に連絡をしてもう1つの馬車が使えないか聞いてみます」

はぁ...仕方ないか...

「ところで話の続きだけど」

「えぇ」

そして2人で職員室に向かいながらソルに話を聞いた。


「実は私、昼頃からこの学校内になにか見知らぬ気配を感じていまして」

「なによそれ、なんであたしに言わないのよ」

「お嬢様のルゥ氏とのお戯れを妨げたくなく...ひっそりと排除しようと隠れて気を張っていたのですよ、まぁ徹夜していることもあっていつもよりキツかったですが」


なんなのよそれ...昨日のルゥの手紙の話も相まって不気味なんだけど...

「その後は見知らぬ気配の正体を調査していましたが強者のようで痕跡1つも見つけられず...さらに気配も去ってしまい...しかし代わりに賢者を名乗るとある老婆と出会いました、彼女はどうやら賢者の里から来たようでルゥ氏の保護者、つまり「おばあちゃん」のようでしたよ」

「ルゥのおばあちゃん!?来てたの!?」

「えぇ」


ってことは、賢者案件になる程のことがこれから起きるかもってこと...?

「そうですね...お嬢様もお気をつけを、あぁそうだ、その事についても賢者の方を交えて教職員の方々と会議をしてきました」

ガチじゃないのよ...なんか色々ありすぎて少し億劫になってくるわ。

「ソル、とにかく今後もなんか変なことがあったり、手紙のこととか気配の正体が分かったら教えなさい、いいわね?」

「はい、お嬢様の仰せの通りに」


その時だった、廊下の奥から複数の足音が聞こえてきてソルがあたしの前に立ち壁になる。

「えっ、ソル?どうしたのよ?」

「...私の傍から離れないでくださいお嬢様」

な、なに...?

「...っ!!」


廊下の突き当たりから男子生徒や女子生徒が複数人ぞろぞろとあたしたちの方へと歩いてくる、でもその目には生気がなく、身体もフラフラもしていて重心が安定していない、なんだかまるで...「人形」みたいに...


「な、なによ貴方たち...!?」

でも問題はそこじゃない、問題は生徒たちが武器を持っていたり術式や魔道具を構えていて殺意マシマシってところ!

「お嬢様...本日の防衛魔術の授業でお見せになったあの技、いけますか?」


あっちもこっちの出方を伺ってるのか少し離れた所に距離をとっている、幸運にも後ろからは来てないみたいだけど、こんな戦うには狭い廊下であんな数をたった2人でなんとかしろってこと!?


「いけなくはないわ、でもコラプスは魔力の消費が凄いから連射は無理!帳も物理は無理よ!」


さらに、あたしは格闘技を嗜んではいるが肉体は華奢な方で格闘するには不安がある、いくら魔力で強化したり、工夫できるといってもそれはあっちも同じだし女の身体じゃ男と格闘なんてキツいわよ...!


「大丈夫です、お嬢様はサポートに徹していただければ!攻めは私にお任せを!お嬢様は受けをお願いしますよぉぉぉ〜!!」

「あんたわざと言ってるでしょ!?」

「はい!!そうです!!」

◇ ◇ ◇

一方、トウコたちも学生寮前にて様子のおかしい生徒たちに囲まれてしまっていた、ティムがあわあわしながら6台の魔道式ドローンを操作して攻撃をバリアで防ぎ、ロミオとクラーベスをサポートしている。


「なになに!?ちょっと落ち着こうってみんな!ギャァァァァ!?それガチで死ねるやつー!?」

「3人とも!先生と私の傍から離れないでくれ!」


ロミオはそう言って笛を吹き、植物のツルたちを召喚して3人を守るべく立ち塞がる。

「程々に頼むよ、私の可愛い魔法植物さんたち...!」

一方でクラーベスはその反対側に立ち、ロミオと共に生徒たちの攻撃を軽くいなしながら3人を守っていた。


「やめなさい君たち!どうしてしまったんだ!?君たちに何があったというんだ!?」

「おいルゥ!落ち着けって!こっち見ろ!テメェらなんなんだよ!?ルゥがお前らに何をした!?なんでそんな心無い言葉を平気で言いやがる!?その顔止めろ!!ルゥ!あんな奴らの言葉なんて真に受けんなって!あぁ...クソ...!」

そして人間に化け直したトウコが地面に塞ぎ込んでしまったルゥの背中をさすっている。


「はぁ...!はぁ...!」

「あぁクソ...クソ!!ルゥ...!」

ルゥはフードを深く被り尻尾も股の間に挟み込んでしまっている、一体、彼らに何が起こったというのだろう、そしてこの騒動を起こした黒幕の正体は誰なのだろう。

◇ ◇ ◇

学生寮の屋根の上から5人を見下ろし、頬を染めて、まるで極上の甘味でも味わっているのかと錯覚するほどに惚けた表情をしている少年が1人。


「あぁ...!トウコちゃん...♡とっても素敵なお顔だよ...♡もっと...♡もっともっと...♡もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと...!!」

その少年は一瞬上を向いて身体をビクンビクンと震わせた後、舌なめずりをしながらトウコの顔だけを見つめ続けていた。


「君の苦しむ素敵なお顔で僕を気持ちよくさせて...♡」

その少年は赤い髪に青い瞳、幼い顔には見合わない凄まじい感情を感じられる表情と禍々しい尻尾、彼の象徴であるその黄金の手足を持った...

「もっともっと欲しいなぁ〜♡」

かつて魔王が世界を侵略していた魔王時代、魔王軍とは別に世界で悪逆の限り尽くしたと言われる最悪の「7人の悪魔」の1人「強欲のグリート」だった...


to be continued




後書き

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