第5話「リグルディアお嬢様、ポップカルチャー部に行く」
前書き
どうもシロニです、よろしくお願いします。
「前回のあらすじ!」
幼なじみのルゥと再開したリグルディアは、彼との出会い、そして昔何があったのかを語り合う、そして分かった今でも固く結ばれていたルゥとの友情、ルゥの元に送られてきた不気味な手紙、何やら陰謀の臭い...リグルディアたちの身に何が起こっているのか?
そして坊っちゃまとは誰なのか?計画とは?賢者さんって誰?
と、前回色々ありましたが、第5話始まります。
◇ ◇ ◇
窓から聞こえる小鳥たちの朝を告げる鳴き声とカーテンの隙間から差し込む朝の光、眠たげな目を擦って身体を起こしてベットから起き上がる、昨日よりは健やかでスッキリとした目覚めだ。
「ん...ん〜!よく眠れた〜!」
伸びをした後カーテンを開けて、あたしはワクワクしながら朝の支度を始める。
「あ、おはようございますリグルディアお嬢様、今朝は良いお目覚めでしたようで嬉しく思いますわ」
屋敷のメイドの1人、マリアがあたしに挨拶をしてきた、朝からテキパキと掃除をこなしてさすがだ。
「おはようマリア!今日の朝食は何かしら?」
「今日の朝食は卵がメインと聞いておりますよ、お嬢様も早いところご支度をなさってはいかがでしょう」
「うん、ありがと!」
「あらあら、昨日と違って今朝は楽しげであられますね...フフッ何かいいことでもあったのかしら」
◇ ◇ ◇
「リグルディアお嬢様、お忘れ物などはございませんでしょうか?」
「ないわよ、メイドたちにも確認してもらったから問題ないはず」
「左様ですか」
「ほら!早く学校に行きましょうソル!」
「おやおや、昨日とは打って変わってやけに楽しそうでございますね」
ソルがニヤニヤしてる、相変わらず人をからかうのが好きなやつだこと。
「なによ、悪い?」
「いいえ、お嬢様が楽しそうでなによりでございます」
そして魔法の馬車を走らせて、あたしたちは学校へ向かう、そして校舎で彼と今日も会うの。
「ルゥ〜!おはよう!」
あたしが少し離れたところから声をかけると、ルゥはヘッドホンを外してあたしを見てニコッと笑った、またこの顔が見れて本当に嬉しい。
「おはようディアちゃん!」
そしてふと、あたしはルゥのいつもとは違うところに気がついた。
「あら?貴方フードは被らないの?」
「え?あぁ〜その、なんだか言うのが恥ずかしいけど、ディアちゃんと出会ってから耳をフードで隠さなくてもいいかなって思ってさ」
「え?なんでよ?」
「それは...ディアちゃんも黒髪を隠さないで堂々としてるからさ、僕も堂々としてみようって思った」
そう、ルゥも少しは自信がついたみたいで良かったわ、友達が元気そうにしてると嬉しいもの。
「そう、良かったじゃない」
「うん!あ、そうだ見て〜これ新しく買ったワイヤレスヘッドホンなんだ〜」
「おや?ルゥ氏、それはマジカル社の最新モデルのやつではないですか」
「え、なに〜?ソルさん知ってるのー?そうそう僕これお小遣いで買ったんだ〜」
「えぇ〜?羨ましい限りでございますよ〜!音質最高でしょう?」
「うん、最っ高」
...
「はぁ〜!ルゥ氏、ちょっとだけでいいので私にも聞かせてもらえません?」
「えぇ〜?どうしよっかなぁ〜?」
「えぇ〜?なんですか、急に意地悪ですか、ルゥ氏ったら意外とからかうのがお好きな方だったんです?気が合いますね」
...
「ん?どうしたのディアちゃん?」
「あら?おやおや、すみませんお嬢様、ご学友を独り占めするわけではなかったのでございますよ^^」
「...てない」
「え」
「ヤキモチなんてしてない」
...してないったら。
「あはは、ヤキモチ妬かないでよディアちゃん、これからもいっぱい話せるしさ」
「してないって言ってるでしょ」
「もーそんなお嬢様も可愛らしいですね♡」
周りの目がなかったらこいつ張り倒してやってたわ。
◇ ◇ ◇
そして私たちは大運動場で防衛魔術訓練の授業を受けることに。
「はーい!みなさーん、これから防衛魔術の訓練をします!怪我や事故を未然に防ぐ為にも大事なお話なのでよーく聞いてください!」
13歳で魔術師になったことで有名なアリス先生だ、魔術の天才で幅広い魔術を扱うからダイアモンド王国で今王から1番賢者の称号を与えられる可能性が高いって噂。
まぁそれにあたしと同い年なのにこの名門校の先生やってるんだから凄い人物なのよね、それなのに偉ぶらないし、努力家で教育熱心なのが好感が持てるわ、心の底から魔法が好きなのね。
「はーい!要点は以上です!」
あ、まずい、話を聞いてなかったわ。
「...ソル」
「話はちゃんと聞きましょうねお嬢様、私は今回反省を促すためにも説明しませんよ」
こ、この裏切り者ぉぉぉ!?
「だってお嬢様、話を聞かないのこれで3度目じゃないですか」
うぐっ...何も言い返せない...
「アッハハ、ディアちゃんやっぱり聞いてなかったんだね」
ルゥ!
「よければ僕が説明しようか?」
やはり持つべきものは友ね!
「ルゥ氏〜ちょっと空気読んでくださいよ〜?」
黙れ変態従者!いまあたしにとっては死活問題なのよ!
「ごめんよソルさん、僕はディアちゃんが困ってたら無視できないから」
ありがたいわ...これからちゃんと反省するから...
「よく聞いてね?これから訓練するのは「魔力防壁」と属性防御の2つ」
「まず魔力防壁だけど、これは単純に魔力を固めて相手からの攻撃を直接防ぐっていうもの、分かりやすいね、でも欠点は残り魔力量に著しく影響を受けるし消耗も激しいってところ」
「もう1つは属性防御、これは同じ属性どうしの魔力は反発し合うって性質を利用した防御方法だよ、魔力量が少なくても影響を受けにくいけど同じ属性じゃないといけないから汎用性が低いのが欠点だって」
同じ属性の魔力が反発するのは知ってるわ、確か同じ属性同士の人は仲良くなりにくいとか、仲が悪いとか噂もあった気がする、あくまで噂で魔術理論的な証明もないけど。
「はい、ですのでお嬢様、属性防御での実践では同じ属性の方と組んでくださいね、でないと防御出来ずに怪我をしてしまう危険性がありますので」
「あんたそれあたしの属性のこと知った上で言ってんのよね」
「え...あ、す、すみませんでしたお嬢様...」
え?まさかの凡ミス?ソルにしては珍しいわね...
「かくなるうえは極東の国にて伝わる文化「ハラキリ」で謝罪の意をお嬢様に示すしか...!」
「やめなさいソル!ハラキリについてはよく知らないけどろくでもない予感しかしないから!あとあんたそれくらいじゃ傷つかないでしょうが!」
◇ ◇ ◇
気を取り直して、あたしはルゥとペアを組んで魔力防壁の訓練を行うことにした、まずはルゥが魔力防壁を張るのを待つ。
「そういえばルゥ、貴方の属性ってなんだったかしら?」
「僕の属性?水属性だよ!ディアちゃんは闇属性だけど...ところでソルさんって何属性なの?」
「♡秘密でございます♡」
だと思った。
「よし、張り終えたよ!いつでも撃ってきて!」
ルゥは自分の目の前に水属性の魔力で出来た魔力防壁を張った、水に似てゆらゆらと揺れている、そういえば水属性の人は水のように変幻自在でマイペースな人が多いと聞いたことがある、ルゥもそうなのかしら?これも噂だけど。
「いくわよ...「コラプス」!」
あたしは崩壊の概念を纏った魔力弾を指先に出現させて、その指を魔力防壁に向けて崩壊弾を放つ、すると弾は防壁に当たって、あっという間にバラバラに崩壊して防壁は魔力の粒子となって消えていった。
「ヒェ〜!ディアちゃんなにそれー!おっかないんだけど!?」
「あ、ごめんなさい、これ新技だったから試し打ちしたくてつい...」
「それ絶対人に向けて撃っちゃダメだからね!?」
打つわけないじゃない、それでこそ既に死んでる悪霊とかでもない限り撃たないわよ。
「じゃ、じゃあ...今度は僕だね!」
よし、じゃあ私も、手をパーにして前に出す...そして魔力を手のひらに集めるイメージで...そしてそれを壁にするイメージ...!
「闇の
これもあたしの新技!
「え、なにそれ?防壁...?にしてはなんだか薄くてカーテンみたい...」
「なによ、とりあえず撃ってみなさいよあんたのショボイ魔力弾〜」
「あぁ〜!?煽ったねー?よし、じゃあお構いなく撃ってやる!いくよ!」
そしてルゥがあたしの闇の帳に向かって魔力弾を撃つと、魔力弾は帳に触れた瞬間吸い込まれて消えてなくなった。
「え?は?」
あたしの闇の帳は受けた魔法攻撃をただの魔力に変換して内側に流れ星としてそれを流してしまう。
「わぁ〜夜空に流れ星が流れてるみたいでいいわねこれ」
「ちょっとぉ!?まさか僕の魔力弾吸収しちゃったの!?」
うん。
「うん」
「えぇー?そんなのあり?」
「文句あるならあんたも普段から新技とか開発しておけば?」
「ぐぬぬ...悔しいけど僕もそうする、自分だけのかっこいい技とか欲しい!」
分かるわぁ〜オンリーワンが欲しくなるわよね。
「いつの間に新技とか開発してたんですかお嬢様」
「あんたが居ない時」
その時近くで聞き覚えのある声が聞こえた。
「キャッ!トーマスおま...君!拡散弾とかびっくりするよぉ〜!」
「ふふーん!凄いだろぉ?俺はこんなことも出来てしまうの...だ!」
「ちょっとぉ〜!?だから勢いが...勢いが強いんだって言ってんだろ...!魔力防壁は消耗が激しいんだからそんなにポンポン撃ってくんな!」
隣でトーマス様...いえ、さんたちがどうやら訓練していたみたいね、トーマスさん...改めて近くで見ると気まずいわねこれ、あたしが勝手に片思いしてただけだけどエリーデとのこともあってこの2人にはあまり近づきたくないわ...
「ん?おや、リグルディア殿!それに君は確かルゥ君だったね!」
げっ!?
「あ、トーマス様、話すのはこれが初めてでしたっけ?」
「そうかしこまらなくていい、俺はみんなと仲良くなりたいんだ!」
「え、じゃあ...トーマス君、それで、話すのは初めてだったよね!」
「あぁ!ギデ...エリーデ!君はどうだい?」
「おま...!その、初めてだよね?」
「うん!光の巫女さんと、グッドガイ家の人と話すのなんて初めてだよ!ねぇねぇディアちゃ...あれ?いつの間にかどっか行った」
そりゃ隙を見て物陰に隠れるわよ!この2人の前にあたしが出れるわけないでしょうが!?
「なんでそんなとこに...」
あぁ〜!猫獣人の聴覚!
「ヤメロ!イウナ!(小声」
「えぇ〜?」
本当に今はやめてルゥ!でないとあたし色々と無事で済まないから!
「ん?どうしたんだいルゥ君?あれ?リグルディア殿は?」
「えっと...な、なんでもないよ!ごめんね!多分ディアちゃんは近くに居るとは思うけど...」
「そう、私個人的にリグルディアさんとはお話したかったんだけどな...ところで、ルゥ君がフード被ってないの珍しいね?」
「これ?うん、僕もう学校では耳隠さないことにしたんだ」
「あ...もしかして隠してた理由って...」
「気にしなくていいよ、確かに僕は今まで耳がコンプレックスで、それを隠してた、耳を見られることに凄く怯えてたんだ、でもある人に出会えて少し怖くなくなった!」
「へぇ?その人って誰なんだい?」
「うーん?誰なんでしょう〜?」
ちょっと、おい、こっち見ないでよ!?隠れてるんだから!
「ルゥ君?」
「アッハハ!こっちの話だよ、とにかくそのおかげで僕はこうしてられるってわけ!」
「そうか、良かったじゃないか!」
「まぁ、世間のコンプレックスに対する目が変わったわけじゃないから、色々と辛いのは変わってないんだけど」
「そ、そう...でも確かに、同族が全部あんなのとか色々とキツいね...」
「うん、でもこうして少し笑い飛ばせるようになったからさ!まぁ問題ないない!」
「ルゥ君...君って強いんだね、いいなぁ〜」
その時、エリーデたちを見ている不届き者(男子生徒)が居た。
「おい、今ならエリーデ様のパンチラ狙えるんじゃねぇか?」
「バカ...!お前何考えてんだ、不敬だぞ!?」
「でもよぉ...エリーデ様のパンツとか見たくねぇ?」
「...見たい」
「へっへっ...言えたじゃん、じゃあ、あくまでも事故を装うぞ、いいな?」
「あぁ...!」
そして。
◇ ◇ ◇
「あっ!?すまんミスった!?」
その時、パンチラ犯たちの放った風属性の魔力弾がエリーデの元に放たれる。
「えっ...?」
魔力弾はエリーデ足元に着弾し、周囲に風を巻き起こすかと思ったが。
「あぁー!?(よし!いけ!パンツ見せろ!)」
「何やってんだお前!?(巫女様ごめんなさい!全ての罪はこいつにあります!)」
そして。
「っ!?エリ」
「ふがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
あたしは考えるより先に飛び出して、魔力弾が着弾する前に空の彼方まで蹴り飛ばしてやったわ。
「え」
「え」
「おっやっと出てきた」
「おやおや」
「えっ、なに?」
困惑するエリーデ。
「リグルディア殿?一体どこから???」
驚くトーマス。
「はぁ...はぁ...!!」
ほんともうマジで...
「ソル...」
「はい♡この私がお2人を丁寧に指導致します♡」
「うわぁ!また誰か1人現れた!?」
光の巫女のパンチラを狙うバカどもはソルにどこかに連れ去られて行った。
◇ ◇ ◇
「リグルディアさん!こうして話すのは久しぶりですね!えっと...確か1ヶ月ぶりでしたっけ?」
「ウン、キットソウヨワタシモハナセテウレシクオモウワ」
「うっわ」
黙りなさい、ルゥ。
「俺も、こうして会話するのは初めてだったよな?」
「ハイ、ハジメテデスワ、トーマスサマ」
もう嫌だ...なにこれ、神からの天罰ってやつ?
「タスケテルゥ」
「ごめんさすがにちょっと無理かなぁ〜」
ぴえん。
◇ ◇ ◇
そして私は。
「私ポップカルチャー部に行くなんて初めてだよルゥ君!」
「俺もだ!よろしく頼むな!ルゥ君!」
「うん!ポップカルチャー部は楽しいところだよ!映画とか、ゲームとか、漫画とか色々あって、自分たちでも作ったりとかもしてるんだ!」
なんで...!!こうなったのよ!?
◇ ◇ ◇
〜放課後〜
「あ、そうだ!ルゥ君の部活動は何部に所属してるの?」
エリーデがルゥに聞く。
「おぉ!それは気になるな!ちなみに俺は演劇部だ!」
「えっと...ポップカルチャー部だよ!」
「え、運動部じゃないの?」
「え?」
「えっ!?あ、ううんなんでもないよ!」
今この男ルゥのこと運動部だって決めつけてたわね、でも残念ながらルゥは体育会系じゃなくて文系なのよ!
「そうか、ポップカルチャー部か、ちなみにポップカルチャー部とは?」
「えっと...ポップカルチャー部は名の通り漫画とか映画とかのポップカルチャー好きが集まってて自分たちで創作活動したりもしてるんだ、漫画家志望だったり、ゲーマーとかが集まったりしてるよ」
「へぇー?ねぇねぇ、私たちも今日この後良かったら行ってみてもいいかな?」
「え?別にいいけど...あいつ大丈夫かな...」
なんか今小声で不穏な言葉が聞こえたわよルゥ。
「そう?やったぁ〜!ねぇねぇ、リグルディアさんも一緒に行こうよ!」
っ!?
「え」
「みんなで行った方がきっと楽しいよ!だから...ね?私リグルディアさんともっと仲良くなりたいから!」
勘弁...してちょうだい...!
◇ ◇ ◇
そして今に至るってわけ。
「おっ、今日は僕たちが一番乗りだ」
するとルゥは生徒手帳を扉の横の魔導石に読み込ませる、すると扉の鍵が空いて開けられるようになった。
「ようこそ!ポップカルチャー部へ!」
そこには部屋中に漫画!映画ポスター!ゲーム機!ボードゲームにおやつにあともう色々たくさんが広がっていたわ、言い方を変えるなら汚い。
「おぉ!ここがポップカルチャー部か!個性的な部屋だな!」
「えっと...その...確かに個性的な部屋だね!」
「なによこれ、散らかってて汚いわね」
「ちょ!?リグルディアさん!?」
本当のことを言っただけよ、そもそも散らかすのが悪いんでしょ。
「...はぁ、まーた片付けずに帰ったなぁ〜あいつら!」
そう言うとルゥは片付けを始めたから、あたしたちも片付けをする羽目になった、なんであたしたちかま他人の散らかした物の片付けをしなきゃなんないのよ、腹立つわねぇ!
「はぁ...ありがとう3人とも、とりあえず大体は片付いたよ」
「ものすごく散らかっていたな!俺の兄もよく本で散らかすんだ、お?なぁルゥ君、この道具はなんだ?」
「あぁ〜!?これジャガーマスクのポスター!?この部活ルッチャー好きいるの!?あ!こっちはタコ虎2000の初回生産限定版CD!?このバンドのこんなの持ってるとか絶対パンクロック好きじゃん!会いたい!」
「ルゥ、こんな所にエロ本あるわよ、持ち主にこういうのはちゃんと見つからないように管理しておきなさいと伝えなさい」
「あぁ〜!!トーマス君!それトウコのだから触らないで!僕がトウコにシバかれる!エリーデさんも落ち着いて!あとパンクロック好きだったの!?それにディアちゃんは見なかったことにしてあげて!ティムが恥ずか死ぬ!」
あの二人落ち着きが無さすぎじゃないかしら?あとエリーデのやつそういう趣味だったの?やっぱり男の子ってわけね。
「あぁー!もう!2人とも僕の言うこと聞いてよー!!」
そしてトーマスとエリーデの2人はルゥによって座らされた。
「すまなかった...」
「その...わるかっ、ごめんなさい...」
ガバガバじゃないのよ、もうちょっと隠すの頑張んなさいよ。
「...正直もう2人には帰って欲しい...」
「はい...」
「はい...」
あの二人本当に帰ってったわね。
「さてと、じゃああたしも帰るわ」
「え?」
なによ
「なによ」
「その...せっかく来てくれたんだし...一緒にゲームで遊ばない?」
「...なんのゲーム?」
「っ!えっとね、これ!この「スマッシュファイト」ってゲーム!」
「あら、それならあたしやったことあるわよ」
「本当!?」
えぇ、ソルと2人でよく遊んでたわ、あいつ本気出すと急にプロ級になるし、負けず嫌いなところもあるから1度負けると勝つまで再戦したがって面倒だった。
「言っておくけど、あたし手加減しないから」
「望むところだよ...!」
こうしてあたしたちは数十分格ゲーでしのぎを削りあっていたわ。
「はぁ〜楽しいな〜」
「意外と強いじゃない貴方」
「えぇ〜?意外とってその言い方なにー?僕腕前には自信あるんですけど〜!」
そんなこんなで暇を潰していると。
「うーん、今日は随分と遅いなぁみんな」
「ねぇルゥ、そういえばポッカル部のメンバーでどんななの?」
「なにその略称」
なによ、短くていいじゃない。
「えっとね、まず最初に漫画家志望のトウコ!極東出身でニッポン人なんだって!」
へぇ?「ニッポン共和国」からも生徒が来てたのね、ここ。
「それでもう1人はティム!筋金入りのゲーマーでプログラマーでもあるの!」
あのエロ本のか。
「そして最後がロミオさん!魔族で種族は...教えてくれないからよく分かんない」
魔族?学校に居るなんて珍しいわね、種族を明かさないなんて...バレると不利になるタイプかしら。
「この3人と僕が今のポッカル部のメンバーだよ!」
ん?あら、誰か来たみたいね、足音の数からしてやっと来た感じかしら。
「おーっす!遅れてごめんよルゥ...ってあら?ルゥ君、そちらの黒髪美人さんは?」
「あら、もしかしたら貴方がティム?パッケージを持っているし」
「おいルゥ、お前が誰かをポップカルチャー部に呼ぶなんて珍しいな?」
この人は...
「貴方がトウコさんね?」
「おう、あたしがトウコだ、よろしくな!で、あんたの名前は?」
「私はリグルディア・ミッツェロス・ディアーナ、こう見えてディアーナ家の令嬢ですの、よろしくお願いいたしますわ?」
「...マジかよ」
...別にあたしが貴族だから敬えとか言わないわよ、だからそんな顔しないでったら。
「その...さすがに貴族様がこんな場所に来るなんて予想外だったからさ、驚いちまった」
「まぁ、あたしも貴族って言っても地方貴族なんですけどね」
さてと、ルゥの話によればあと一人いるはずなんだけど、見当たらないわね?
「あぁ〜多分だけど、探してるやつはあそこに居るぞ」
え?あっち?
「んなぁ〜!ロミオさん!だからそんなにくっつかないでって言ってんじゃん!」
「あぁ...可愛いルゥ君、そんなこと言わないでおくれ、私はただ可愛い雄である君を愛でていたいだけなんだ...」
なに...あれ...なんでルゥが半裸の魔族に抱きつかれてんのよ!?
「ロミオさんお尻とか触ってくるから嫌なの!だから離れてってばぁ〜!んなぁー!」
「そうか...でもそんな君もとても可愛いらしい...はぁ...もっと愛でたくなってしまうじゃないか...!」
「ねぇ〜!!面倒なんですけどぉ〜!?」
ロミオ!?あれが!?ということは彼が魔族で、おそらく種族は...ってそんなことより!
「変態撃退キックー!!」
「むっ...?」
避けられた!?
「ふふっ、雌からのアプローチは全てお断りしているんだ、すまないね?」
「違うわ!!」
◇ ◇ ◇
一方、ソルはと言うと。
「失礼、ご婦人、不躾なことをお聞きいたしますが貴方は賢者の里から来訪された賢者でお間違いはないですね?」
ここは人気の無くなった学校の廊下、今ここに居るのは青色のローブを身にまとった老婆と、ソルだけだ。
「あんたはソル・コアツィルスだね、翼ある蛇の一族の」
「...っ!なぜ私の名前を...」
「あらぁ?なんだいあんた、私は賢者さ、これぐらい予言するのは朝飯前なのよ、それで?聞きたいことがあるんだろ?」
「はい」
「でも条件があるよ」
「その条件とは?」
「あたしを職員室に連れていきな!」
「...ボケ?」
「違う」
「ほんとに?」
「違うって言ってんだろ!ここには初めて来たから迷ったの!」
「承知いたしました〜」
To Be Continued
後書き
応援、感想ありがとうございます!
(X)ID「OkdYURbpFgdwHo5」
・「魔族」魔術に秀でた種族たちの総称、1人の魔族で賢者1人の実力に値する存在、性格も文化も種族でバラバラで個性豊か、大体は人間たちの隣人というスタンスで友好的な種族は少ない。
・「ポップカルチャー部」その名の通り様々なポップカルチャーを扱い、遊び、作る部活、メンバーは現在4人、創作意欲のある新入部員募集中。
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