第2話 埋蔵金伝説〜開幕〜

徳川埋蔵金伝説は本当にあったのか。

アメリカ合衆国 ゴールデン大学の教授、ラッシュ・ゴルド氏が語る。

「徳川埋蔵金ハ実在スル!シカシ…」

続けた言葉に、日本国民は息を飲む。

「キンギンザイホウ ナンテ物デハ無イ!」




埼玉県越谷市 大相模地区。

ここに埋蔵金調査団。もとい、暇人(ひまんちゅ)たちが集まっていた。

彼らは埋蔵金発見から2ヶ月近く、土壌調査を兼ねて発掘をしていたのである。

(ホルス(現在で言うところのシャベルである)で土を掘り返す音が響く)

「人だァッ!」

「人ォ!?」

そこには人が埋まっていたのである。

「チョンマゲだぞッ」

「チョンマゲだ…」

「カタナも持ってるぞ」


徳川埋蔵金伝説、それは我々日本人が抱いていた最大の夢である。

しかし実際のところ…。


『おゝ。空気では無いかッ』

『久しぶりだ』


チョンマゲ男の第一発見者。墓濠 興寿蔵(はかほり おこすぞう)は語る。

「いやァ。歴史の教科書でよく見るでしょう。オサムライ。あんなひょろっちィ見た目じゃないんだなって知りましたよ。」

「だって…」

興寿蔵は続ける。

「気付いた頃には手も足も出ない、いや、無いんですからッッッ」

興寿蔵は途端に泣き出す。そう、この青年はチョンマゲ男の第一発見者であり一人目の被害者である。

「これからどう生活してけばいいんスかッ!!ホント!!」



ここは越谷警察署仮庁舎。越谷市の中心である越谷駅からはバスで一本である。

令和5年に始まった本署建て替え工事が未だに終わっていない。

そこに一本の電話がかかってきた。チョンマゲ男が土から這い出てきたと言うのだ。


生活安全課、嘉禎 守護之助(かてい まもるのすけ)は嘆く。

「こんなイタズラみたいな通報、久しぶりダゼ」

部下である 永遠寺 不伸給与(えいえんに あがらずきゅうよ)が答える。

「いくらイタズラでも行かなきゃ行けないんでしょう…」

「そうだな。」



刑事二人が現場に着いた時、その景色に調子を飲み込まれた。

「なんだァッ!?これはッッッ」

そこにあるのはまさに、歴史の教科書で見る景色その物であった。

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