第6話
その言葉は衝撃的で、彼の唇の動きがスローモーションの様に映えて。
決して誤魔化しや強がりなんかじゃない、それは心の奥底から湧いて出た本心だ。
「…彼女が好きだったのね?」
脳内で導かれた一つの仮説。
彼はようやく私から視線を外し、窓の外に目を向けながら小さく息を吐いて笑った。
失笑だった。
「怪我した人って俺のクラスメイトだったんだ?今初めて知った」
「…え?」
「誰がどうなろうとどうでもいいよ。
…あの建物を爆発できたらなんでもよかった」
彼が自白した瞬間だった。
「…でも大きな爆発なんかじゃなかったわ」
とても建物一つを崩せるほどの威力はなかった。
「爆発物研究の教授は俺にわざと間違った火薬の分量を教えてたみだいだよ。
…あの人俺が何かしでかすんじゃないかって勘付いてたのかな」
今までの一週間が嘘のように、ぽつりぽつりと語る彼。
その瞳は依然窓の外の景色へ向いていて、今までの刺々しい雰囲気はもうない。
どこか諦めたようなその横顔に、私はそれ以上問いかけることはできなかった。
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