第2話

ただ大人しいので他の生徒たちよりも扱いに困っていないと担任は話していた。



しかし事件の重要参考人としては手に余る存在で、なにせ彼に話しかけ続けても、一向に彼という人間性が見えて来ない。



彼はある種不可思議だった。



8日前に起こった新築の塾校舎爆発事件の前日の夜、その校舎の周りをうろついていた不審者はたった17歳の未成年だった。



年が近い方がその未成年から色々聞きだせるだろうという考えから、上司が新米刑事の私に担当を回した訳だが。



これが一筋縄ではいかなかった。






彼は頭がいい。



いや、単純に「頭がいい」と言うと語弊が生まれるかもしれない。



刑事という幼少から憧れだった職業に就く為に昔からコツコツと勉強を欠かさなかった私も、どちらかというと「頭がいい」方だと思うけれど。



彼のそれには到底及ばない。



高校に入ってからの成績は今まで例外無しで全て学年1位。



全国共通学力検査でさえ一桁の順位を取る程だとか。



中でも化学が好きなのか彼は特に爆発物研究に深い興味を抱き、隣町にある大学の専門教授の元へツテで定期的に通っていたらしい。



天才的に賢い彼は教授からしてもとても教え甲斐のある逸材だっただろう。



この分野の研究はいずれ爆発物の検知技術の開発へと繋がる。



彼の将来は期待されていたはずだ。

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