第14話
河合くんの姿を視界に捉えた椎はぐいっと私の腕をもう一度掴むとぐいっと前へ突き出して。
「俺、先教室戻ってるから」
「えっ椎…っ」
椎はじゃぁ何の為に待ってたんだ。
背を向けて当然のように歩き出した椎の背中を見ていたけど、私の元に歩み寄った河合くんの気配に急に体が強張る。
「え、っと…うんと…ね、椎から話は聞いたよ」
ちらりと視線を上げると河合くんは居た堪れないような顔をして、何も言えない様子。
「その…河合くんは庇ってくれたんだよね?」
「……」
「停学…とかになってないよね?注意だけだよね?」
小さく頷く彼に心底ほっとした。
「嬉しかった…よ」
殴るのはちょっとやりすぎかもしれないけどね。と苦笑を付け加えると河合くんは小さく目を見開いて。
少し照れたように片手で口を覆って頬を染める。
それを見てなんだか私まで恥ずかしくなってしまった。
「あ、あのね河合くん…!」
言いかけた言葉は職員室の扉が開く音と出てきた先生の視線に途切れる。
ふと手を握られた。
河合くんの手だった。
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