第13話

河合くんが怒ってくれた。


あの河合くんが。



『河合くん=殴った』の方程式がそこでようやくやっと理解できた気がした。



自分のことじゃ河合くんは怒らない。


でもそれが自分のことでだなんて、どうしてやっぱり嬉しい。



「…松岡たち、保健室だって」



「…そっか」



「…河合は職員室だって」



「…うん」



一方的に殴った河合くんに分が悪い分、喜んじゃいけないことなんだろうけど。



「…私、河合くん好きだなぁ」



「知るか、のろけんな」



職員室前、椎と二人で河合くんを待った。








「…河合くん」



職員室の戸が開いて出てきた青年は私を視界に入れると気まずそうに視線を逸らした。

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