第11話
多目的教室でお弁当を食べている私の元へ椎が焦ったようにやって来たのは次の日のことだった。
バンッと勢いよく扉が開いたかと思うと、誰かを探すように動く椎の視線と一瞬合わさって。
「林っっ!」
目が点になったまま口を開けてぽかんとしている私を引っ張って何処かへ連れて行こうとする。
「え、ちょ、椎?」
教室に残された私のお弁当とおなじくぽかんとした友だち。
腕を引かれるままもう一度椎を呼ぶとずんずん前を歩く青年はようやくこちらを見やった。
「河合が暴れたんだって」
「う、うん?」
思考が働かないまま反射的に相槌を打つ。
だって私の中で『河合くん』と『暴れる』は正反対に位置する言葉だ。
あの全てを受け入れたような落ち着きのある大人な河合くんに、暴力なんてミスマッチ。
「俺も後から知ったんだけど、クラスの奴殴ったらしい。…ほら、松岡たち」
いつも河合くんに寄っているチャラチャラした集団が思い浮かんだ。
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