第2話
本当ならそこそこモテるだろうし、人気者の立ち位置だと思う。
「……河合くん、手伝うね」
掃除道具入れからホウキを一本引っ張り出して来て声をかけると、
河合くんはこちらへ振り返ってちょっとバツが悪そうに小さく笑った。
「気にしないでいいよ、私が好きで手伝うんだから」
高校に入ってだいぶ経った。
彼と放課後に掃除をする機会は最近目に見えて増えた。
もっというと今までに二人で提出物を届けに行ったり、その他の雑用は数え切れない。
河合くんは、たぶん私がこうしてなんでも彼を手伝う理由を"同情"か"気遣い"と捉えてるんだろう。
でも私は大人びる前の彼を知っている。
河合くんは急に大人になった。
少なくとも、中学にいた頃の河合くんは「嫌なことは嫌」とハキハキしていたし、もっというと正義感がすごく強かったはずで。
大人しくて引っ込み思案ないじめられっ子を助けるのはいつでも彼の役だったのに、
いつの間にか冷めた眼をするようになって、
対等に関わっていたガラの悪いクラスメイトを無言で容認する大人のような顔でそこにいた。
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