第15話

私が高校3年生になっても、赤松くんはもうここにいない。




ア メ リ カ へ 留 学 。




――……いつから?――


――……来年の春、3年に上がる前――




――……どのくらい?――


――……最低で3年――




どうして目標がある人は、

大抵自分がそれに向かって"頑張ってる"ことに無自覚なんだろう。



来年の夏、バスケ部の大会に出られない赤松くんは

試合のメンバーを下ろされた。



彼はいつも通り笑って練習をこなす。







赤松くんの"口癖"は私にしか言ったことがないという。



『彼のキメゼリフは100%も200%も冗談なわけであって』


茶化すようにしか言わなくて。




いつも本気で、いつも冗談だった。




私以上に、赤松くんも気づいているんだ。


高校生なんかに、国境は超えられない。




私たちはまだ子供だ。

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