第14話
例えば財布が手元にないのに一日中
一人で雑貨屋さん巡りをしたような。
芯のない鉛筆を渡されたような。
顔が離れて重なった息が白く見えた気がした。
赤松くんは。
「もうすぐ下校の音楽鳴るよ」
「…うん」
だって赤松くんは。
「ビオラ、片付けに行く?」
「……うん」
だって赤松くんは。
来年、いなくなってしまう。
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