第8話

「…どうツッコめばいい?」



「あ、井上さん照れてる?」



「照れてない」



「付き合う?」



「なんで」



またおどけたように笑う赤松くんから一度目を離して、視線を手元にあるビオラに移した。


ツヤのある本体は冬の薄い光を反射させる。



陰鬱。



「……赤松くん」



「うん」



「……」



「…なに?」



「……どのくらい?」



こんな短くて投げやりな言葉一つでも伝わってしまうんだ。

今の赤松くんには。



今度はさっきとは違う、伏せたような笑顔で彼が答えた。



「……最低で3年」

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