第7話
「…でもこの前試合メンバーから下ろされちゃった」
「……」
「補欠に格下げ」
「……なんで?」
だって赤松くんあんなにいつも練習頑張ってて、部内でもエースって呼ばれるくらいに上手いって、噂されてるぐらいなんだ。
「…だって、ほら。」
仕方がないという風につとめて明るく返事を返す赤松くんに心臓がぎゅっと縮小するのが分かった。
そこに具体的な言葉がなくても、
なにを示しているのか理解してしまう自分がいる。
「……そっか」
「夏の大会に向けてやっぱ正式なメンバーで練習しておきたいんだと思う。
俺もそうするべきだと思うし」
「…うん」
「……でもちょっと腹立つから、グレてこうやって井上さんとサボってるわけ」
冗談混じりに笑う赤松くん。
別にメンバーを外されたことを気にしていないのか、実は心の奥底になにか切ないものを抱えているのか、
彼の表情からは読み取れない。
「…私サボってないもん」
「うん、じゃぁ、俺もサボってないね」
「なんだそれ」
「人間、息抜きは必要だよ」
ひんやりと冷えた地面のタイルから冷気が伝わる。
他に人のいない静かな廊下で2人、
意味もなくしゃがみ込んでなにをやってんだか。
「…なんか、俺と井上さんで逢い引きしてるみたい」
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