第3話
具体的になにがゆったりしているのかと聞かれても答えられないけど、
一番しっくりくる表現をすれば、"居心地がいい"。
だって真冬の天気はいつもどんよりと暗くて、
普段なら窓の外に目を向けても憂鬱になるだけなのに。
こうやって赤松くんと他愛もない話をするだけで、
初夏の日だまりにいるみたいな気分になれる。
「…赤松くんってなにかに向かって頑張ってる?」
「なに急に」
「なんとなく」
「俺、なんにも頑張ってない様に見える?」
「うん」
「大体あってる」
そうやってまた笑う青年の横顔は穏やかで、
見てるだけで和やかな気分になるんだ。
「……いきあたりばったりでもなんとかなるよ」
心地の良い言葉。
どうして目標がある人は、
大抵自分がそれに向かって"頑張ってる"ことに無自覚なんだろう。
私にはまだ夢中になれるものがない。
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