第2話

私の知る限りでは赤松くんから誰かに告白した、というケースもなくて。



「赤松くんに古文で負けるなんて癪としか…」



「だって俺今回すごい頑張って勉強したもん」



赤松くんが席替えの度に変わる隣の席の女の子全員に『付き合う?』なんて冗談でも言ってるのかもしれないと思うと、

すごく憂鬱な気分になるし、



「…すごい頑張って57点なんだ?」



「……週刊少年シャンプー買うの我慢したもん」



私にだけ言ってるのかも、と思えばそれが冗談だとしても浮かれ上がるほどに嬉しい。




「…頑張ったね」



「今日帰り買って帰ろう」



物は考えようだ。







「……ねぇ、赤松くん」



「んー」



「……いつから?」



「……来年の春、3年に上がる前」



赤松くんと並んで座るこの空間はなんだかすごくゆったりしている。

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