ーー第一波就眠街会戦ーー
ーーあまねく星が光りし時、聖戦が始まりを告げる。
|永氷皇土(アイス・ロード)に取り残されたミザディとアルロイは食料を求め狼を追う。
巨石を投げ追い詰めるも、狼を庇う3つ首の獣
ーーフェンリル が現れた。
逃げ惑う2人、追い詰められた彼らの前に謎の少女が現れる。
冥界へ消えたその名は
ーー死星のリルヴェー
終末は新たな段階を迎えるーー
ーー眠りの森を抜けるヴァレナーー
『ここは......?』
眠りの森を抜けたヴァレナ。
一面に広がるのは眠れる人々......。
ここは、かつてセウォルツたちが訪れた街
ーー|就眠街(スリーピア)ーー
ヴァレナが初めて足を踏み入れる土地だ......。
(少しでも強くならないと......)
胸の中で渦巻く焦燥感。
彼はその街を進んでいく。
まさかここが戦場となるとは、この時の彼には知る由もなかった。
ーー神々の天幕にてーー
『トール...... どうした? お前ともあろう者が退くとはな......』
声をかける存在。
ーー軍神 テュール
かつて天空を治めた存在にして、トールの異母兄でもある。
『......兄者、水神が目覚めた。|古の大戦(ラグナロク)以来だ』
『......!!! 神殺樹の意思を継ぐ者か...... 忌々しい』
『ああ...... 古の大戦の時、俺は既に戦える状況ではなかった。兄者も知っているだろう』
古の大戦の少し前、かつて神殺樹のあった場所は、薄ら木々が広がる未開の地。
誰一人近寄ることはなかった。
全てを喰らう者が、そこにいたからだ。
特に木々の中心にある池のほとりには、巨大な影がうごめいていた。
それは、あらゆる者たちが恐れた、
世界蛇 ーー蛇姫 ヨルムンガルド
『......水神はヤツの子だろう? お前では相性が悪いわけだ。仕方ない』
古の大戦の少し前、トールはヨルムンガルド討伐をオーディーンに命じられ、ギリギリ討伐に成功するも毒を食らい、長期離脱を余儀なくされた。
その隙間を埋めたのは他でもない
ーー戦神テュール
彼の活躍がなければ、古の大戦で神々が勝ち残ることはなかっただろう
『......トールよ、安心して見ておると良い』
ーー天幕から、テュールが出陣する
戦いの刻は、近づいていた。
ーー就眠街ーー
ヴァレナが街を進んでいると、上空から神々がこちらに向かってくるのが見えた。
(......!!! トールの軍団か!!?)
神々が向かう先は間違いなく、眠りの森。
(セウォルツが危ない......!!! ここはボク一人で食い止める!!!)
『|爆炎衝(ブラスト・フレイム・インパクト)!!!』
業火が降り注ぎ、神々の軍勢は不意を突かれ、崩れ落ちる。
『ほう...... これは...... 炎の子、姫をお守りかね?』
頭の中で警告が鳴るヴァレナ。
(まずい!!! 後ろ......!!?)
背後から切り上げられるヴァレナ。
半歩躱すもいきなりそこそこ斬られてしまった。
『グッ......』
『我は軍神テュール、不意打ちもまた戦いの常なり』
ヴァレナは片膝をつく。
神々の軍勢が、隙を狙ってヴァレナに押し寄せる。
ーーその時だった
突如、森の奥から鳴動する眠りの音が響き、神々の軍勢は眠りに落ちる。
(......!!? これは水神の...... 我も少し眠気を感じる。
ややこしくなってきたな......)
眠りの森で響くその音は、ますます強さを増していく。
それが意味するものはーー
ーーセウォルツの危篤
ーー眠りの森にてーー
『まずいですね...... セウォルツの容態が危うい......』
ヘイムダルは苦悩していた。
神殺樹がロキによって傷つけられたことはヘルヘイムから聞いているが、リンクされているセウォルツの体には傷一つない。
(この状態では治療もできません......)
彼女の回復を祈ることしかできなかった。
ーー眠れる森の姫ーー
『セウォルツ...... 早く起きるのです...... セウォルツ』
神殺樹が語りかける。
(イヤだ...... イヤだよ...... ヴァレナはもう......)
『いいですか? セウォルツ...... よく聞きなさい...... ヴァレナは生きています...... あなたが守ったのです......』
(え......? だって私、倒れて......)
『私が少し力を与えました...... あなたはヴァレナを心の底から愛しています...... 今なら十分、資格があります。あなたの手でトールを討ちなさい』
そして、姫は眠りから目を覚ました。
『トール......』
『セウォルツ......!!! 起きたのですね......!!!』
ーー希望の光はまだ潰えていない
奇跡が起きたことに、ヘイムダルは涙を流す......。
その時、突如として神々の軍勢がセウォルツ目掛けて来襲した。
ーー就眠街ーー
『はぁ...... はぁ......』
ヴァレナは傷を抱えながら、防戦一方となり、押されていく。
(奇襲だけじゃない...... 正攻法でもかなり強い......!!!)
『我は軍神ぞ...... 全ての剣筋等見切れて当然』
(神々の軍勢が眠り始めたから、まだギリギリ対応できているけど...... 近距離戦では分が悪い......)
そう思っていた矢先、神々の軍勢は再び目を覚まし始める。
(え......? 嘘でしょ......)
ヴァレナは絶望し始める。
その胸の中には、怖れと怒り、そして自分の無力さに対する苛立ちが渦巻いていた。
どれだけ自分が強くなろうとしても、まだ足りない。
セウォルツを守りきれないのではないか、そんな不安が押し寄せてくる。
『これは丁度いい...... 貴様が死ぬ前に教えてやろう。セウォルツに向けて別働隊を放っている。夜を司る神、ノートのな...... 奴らは古の大戦でセウォルツを捕まえた特殊部隊』
『うわァァァァァァーー!!?』
ーー絶望の淵で、ヴァレナは暴走を始める
炎が一段と強く吹き、轟々と大地が溶け、マグマが溢れ出す。
ヴァレナの暴走は、止まらないーー
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