ーー永別と邂逅ーー

 ーー運命の七連星、それは神の基軸であり、人を導く者。

 上級魔導士の正体 ーー永別神フアポネダ。

 オーディーンの策謀にハマり、|永氷皇土(アイス・ロード)にワープするミザディ、アルロイ、セウォルツであったが、フレイストと出会い、呪いの真実を知ることが出来た......。

 希望はまだ潰えていない。

 フレイストの合流により事態は急展開を迎え出すーー

 

 『あ〜あ...... 王子様行っちゃったみたいだぜ〜? 反対に』

 

 ミザディがそう言うと、セウォルツがワッと泣き出した。

 

 『お......!!? おいおい...... 泣くなって......!!? なぁ?』

 

 必死に慰めるミザディ。

 

 可哀想なセウォルツを見て、フレイストは重たく口を開く。

 

 『......まだ、可能性は ......ある』

 

 瞬間、セウォルツはフレイストを見る。

 

 『私は...... |天移暝動(テレポーテーション)が使えます...... ですが......』

 

 フレイストは服を脱ぐ。

 そこには痛々しいまでの胸の傷があった......。

 

 『......これは、ヴァレナ坊ちゃまと戦った時の傷です......』

 『私は......呪いによって物理的に傷つく事はありません......』


 『ではこれは......?』

 

 『坊ちゃまの父君と母君の想いが剣に宿り、私を貫いたのでしょう...... 物理的な痛みはありませんが、精神的に相当なダメージを受けてしまいました......』

 

 『天移暝動は精神を統一させないと使えない技です......』

 『坊ちゃまと戦ってある程度時間が経ったので少しは癒えたのですが......』

 『持って一回...... 一人までしか一緒にワープ出来ません...... それに......』

 

 『それに......?』

 

 『問題は坊ちゃまの呪い...... 仕方ありませんな...... 酷だと思いますが伝えましょう......』

 『坊ちゃまは......いえ...... ヴァレナは...... 愛する者に一生会えない呪いを持っているのです......!!!!!』

 

 『......!!!!!』

 『セ......セウォルツ......? な...... なぁ?......』


 表情が強張るセウォルツ......

 だが決して泣いてはいない。

 

 『......私 行く!!! お爺さんお願い!!! 連れてって!!!』


 『......本当に良いのですな? 会えぬやもしれませぬぞ?』

 

 『......構わない あの子はずっと私の事を探してくれた! 今度はそれに応えたいの!』


 ミザディとアルロイは止められなかった。

 お爺さんの体調はあまり思わしくない。

 もしセウォルツに何かあったら......?

 でも2人は止められなかった ......いや、止めたくなかった。

 

 『......行ってこいよ♪』

 

 『セウォルツさん......! また3人でパーティーしましょう......! 待ってますから......!』

 

 日も沈み出しそうな頃......

 2人は少年を求めて|天移暝動(テレポート)したーー


 ーーヴァレナがいる所へーー


 (......!!! まずい......!!!)


 永別神フアポネダはそう直感した......。


 ヴァレナのいる所はーー神殺樹

 

 南の最果ては神殺樹周辺の眠りの森であった。


 (オーディーン様の言いつけ通りヴァレナを誘導して行き違いにさせたというのに...... 何が起こっているの!!?)

 

 確かに感知したのはセウォルツ......!!!


 一度ワープさせた者が今、どこにいるのかそれは直感で分かる......

 

 ヴァレナの数十メートル後方!!! それもどんどん近づいてくる......!!?


 (おかしい...... オーディーン様の呪いが通じない......?)

 

 ヴァレナの一生会えない呪い

 

 ーーそれはヴァレナが愛する者を求めると作用する

 

 ヴァレナはずっと待っていた

 セウォルツと夢で会った場所でーー

 

 (ここは......!!! 神殺樹......!!! 待ってて!!! 今、逢いに行くから!!!!!)


 セウォルツは真っ直ぐ走りだす

 向かう先は眠りの森で会った場所・・・・・・

 

 『あれは......!!! セウォルツ......!!!』

 

 『ヴァレナ〜!!!』


 (仕方がない......!!! 最速でヴァレナを連れ去り永氷皇土へ飛ぶ......!!!)

 

 ヴァレナの手を掴みワープしようとするネアフポダ

 

 『ヴァレナーー!!!!!』


 『セ......!!! セウォ......』

 

 消え去りそうになるヴァレナ

 

 セウォルツが泣き出しそうになった時ーー奇跡は起きた


 (な...... 何......が? 起こっているのだ? 頭が...... 暴......走す?)


 『坊ちゃまを離しなさい!!!』


 フレイストが瞬時にヴァレナを引き戻す

 

 暴走と共に現れては消えるを繰り返すフアポネダ

 

 全てを眺めながら遥か上空で微笑むのはーー


 ーー録星のヘルヘイム 


 『|智者の探求(クレバー・クエスト)』

 ーー指定された者に作用し、情報処理をすればするほど処理能力が指数関数的に増加する――


 『悪戯が過ぎますね...... まあ私も少し悪戯してみたのですが......』


 『不安定で急速に術式演算をしていた所に知者の探求(クレバー・クエスト)を付与するとどうなるか......? やっぱりバグりますよね 永遠に自分で悪戯しているといいわ』


 ーー永劫にワープを繰り返すフアポネダ

 ついにヴァレナとセウォルツは邂逅する

 徐々に数多の星々がゆっくり光始めてゆく

 2人の運命を祝福しているようであった......

 ーー終わりの始まりが近い

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