ーーソメイユ・ローリエーー

 ーー運命の七連星、それは神の基軸であり人を導く者。

 裏で策謀を巡らせるオーディーン。

 ヴァレナはフレイストに別れを告げて南の神殺樹を目指す。

 一方その頃、ミザディ、アルロイ、セウォルツの仲良し3人組は上級魔導士によって北の最果て|永氷皇土(アイス・ロード)へーー


 『うわー!!! 一面氷!!! 氷の城も遠くに見えるよ!!!』

 

 『......ちょっと北すぎやしねぇか? 寒すぎだぜ...... 絶望だぁ......♪』


 『ここに本当にいるのかな......?』


 北の最果てーー永氷皇土に来てしまった3人......。

 軽装なので正直......寒い。


 『と......とりあえずあの城に向かわねぇか? 何か着れるもんあるかもしれねぇし......』


 ミザディはもう余裕の表情が消えているようだ。

 3人は城を目指す。


 暫く歩いていると凍っている巨人を発見した。


 『うわっ......!!! 何だこれ!!? 巨人 ......によく見たら小人も凍ってんぞ!!?』


 ヤバい所に来てしまったのではないかとセウォルツとミザディは戦々恐々している。

 

 それを横目にアルロイは冷静に分析していた。


 (あまりにも多くの小人と巨人が氷の中で眠っている...... ここはかつて巨人と小人が住む国だったのだろうか......?)


 暫く歩いていると氷に包まれた城...... もとい宮殿が見えてきた。

 3人は宮殿の中に入る。


 『ここよぉ......? 幽霊出ないよなぁ......?』


 セウォルツを怖がらせるミザディにボソッとアルロイは呟く。


 『姉さんはある意味...... 幽霊よりか怖いよ』


 『ん〜? 何か言ったか? アルロ......』


 『貴方達...... ここで何をしているのですかな?』


 『ぎゃ〜!!!!! 出!!! 出た〜!!!!! (3人絶叫)』


 『コホン...... 誰がお化けですかな......?』


 よく見るとそこに立っていたのは執事らしき老人。


 『私の名はフレイスト...... ここを守る執事じゃ。して...... 貴方達は一体......?』


 『おー!!!♪ 爺さん幽......ムグッ』


 ミザディの口を抑えるアルロイ。

 執事のお爺さんに要件を話す。


 『なるほど...... ここに転移して来たと......? 服がないのですな? 貴方達には少し小さいかもしれませぬが......』


 お爺さんが持ってきたのは子ども用の防寒着。


 『意外といけんじゃん♪』


 羽織る2人をよそ目にセウォルツはその服をじっと見つめている。


 『お嬢さん? どうかなされましたかな......?』


 『何だか懐かしい匂いがするの...... 神殺樹の匂い......? ううん、ちょっと違うけど...... 爽やかな甘い匂い......』


 『お嬢さん!!? 今何と......!!?』


 『あぁ? 嬢ちゃんの事かぁ? 嬢ちゃんは神殺樹からやってきた眠り姫なんだぜ?』

 『街行く人が全員寝ちまうみたいなんだよ。何故かアタシらはちょっとしか効かないけどな♪』


 (......!!! 坊ちゃまが言っていたセウォルツとはこの娘だったのか......)


 『貴方達に案内したい所があるのです...... 良ければ同行してもらっても宜しいですかな?』


 防寒着も貸してもらった事だし...... 3人はフレイストについて行く事にする。

 

 向かう先に見えたのはーー玉座に眠る王と王妃。


 『凍ってる......』


 3人は絶句した。


 『実は王には子どもがいるのです...... その子の名はヴァレナ......』

 『昔からセウォルツに会いたい、夢に何度も出るんだと言っては外へ出る...... そんな子でした......』


 『私の名前を知っている......!!?』


 セウォルツは驚く。だが過去形......。

 セウォルツは恐る恐る聞いてみた。


 『その子は一体何処に・・・・・・?』


 『生きています...... 貴方を探しに神殺樹へ...... ですが私はあの子を殺そうとしました...... 呪いによってね...... 私は執事失格です......』


 (......!!! 呪い......!!! 私達も呪われてるのかな......)


 3人は思い当たる節しかなかった。

 眠らせ...... 絶望させ...... 衰弱させる......。

 執事を責める気持ちにはとてもなれない......。


 『私も呪われていますが...... あの子はもっと辛い呪いにかかっています......』

 『ですがこの話はおしまいにしましょう...... 言ってもただ貴方達を傷つけるだけだ......』

 『今日はここに泊まりなさい...... 私の部屋を貸しましょう......』


 氷が辺りを覆い風が強く吹き抜ける。

 フレイストは一人、宮殿の窓から外を眺めて回想した。


 (坊ちゃまの呪い...... やはり相当深刻だ...... しかし、お嬢さんがここまで来たのは初めての事...... もしかしたら...... あるかもしれない)


 ーー神々の中枢 ヴァルハラにてーー


 『大儀であった...... フアポネダ......』


 オーディーンの見下ろす先には・・・・・・


 ーー永別神 フアポネダーー


 |十字架の悪戯(クロス・トリック)

 対象を言葉巧みに誘導し十字(東西南北)の果てにワープする事が出来る

 誘導に一度かかってしまったら......

 ーー見知らぬ最果てへ飛ばされ二度と帰れなくなる者も後をたたない......


 (儂がヴァレナにつけた呪いも効果が薄れてきておるが...... コヤツに任せておけば問題はなかろう......)


 ーーオーディーンの策謀が見事に決まり、3人組は永氷皇土へ飛ばされた......。

 しかし数奇の運命を経ていつかまた会う日は近い......。

 フレイストは何となくだがそう予感するのであった......。


 

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