ーー邪の道はベビーー

 ーー運命の七連星。

 それは神の基軸であり人を導く者。

 |就眠街(スリーピア)で襲撃を受ける運命の3人組。

 誰も知らぬ異界の土地で弓神と誘惑神が暗躍する。

 録星ヘルヘイムにより明かされた運命の奈亡星の呪いにより状況は一変、弓神と誘惑神は倒れた。

 戦闘の混乱は続く......


 『痛いなぁ...... 痛いなぁ...... この痛み、寝ぼけて縫い針を歯ブラシと間違えて使った時以来の痛みだぁ......♪』


 ミザディは自分を掠めた矢に向かって延々と呪詛を吐き続ける。

 どこか遠い所で絶叫する声が聞こえた気がしてミザディは恍惚の笑みを浮かべる。


 『大丈夫だぁ♪ 絶望なんて慣れれば何とかなるって♪』


 誰に語りかけているのかも分からない......。


 一方、ずっと抱きついているのは弟のアルロイ。


 『ああ....../// セウォルツさん....../// ダメ......///!!!』

 

 『2人とも何してるの......?』


 セウォルツは不思議そうに2人に話しかける。

 その瞬間、2人はハッとして我に返った。


 『あれ......? 僕らは何して......?』

 

 『何かあったのかぁ?♪』


 何がどうなっているのかセウォルツには分からない。


 『す......すみません......!!! セウォルツさんに抱きついてしまって!!!』


 セウォルツは優しく見つめてアルロイに言う。


 『ううん...... 大丈夫だよ...... 寂しかったんだよね?』


 セウォルツも神殺樹(シンサツジュ)にいた時は寂しくてたまらなかったから気持ちはよく分かるのだ。


 『セウォルツさん......』


 アルロイは何となく同じような境遇を抱えているのだろうなと察した。

 戦いも終わり眠れる人のイビキだけが大地を包む。


 ーー場面は|陸の孤島(ホワイト・アース)に変わるーー


 『一体どうなっているのさ......』


 世界の観測者ダルヘイムは訳が分からず困り果てる。


 (昨晩、|神堕ち人(カミオチビト)達が歌い出したかと思えば、今日はお互いを誘惑?してたしな…)


 神堕ち人の奇行が続きダルヘイムは混乱中だ。


 『ダルヘイムさん お疲れのようですね』


 振り返るとヘルヘイムがいた。


 『大丈夫ですよ 貴方が心配しなくても彼女は無事でしょう』


 ヘルヘイムの言葉を聞くとダルヘイムは何故か安堵してしまう。


 (またいつの間にか現れたよ 君は分からない事だらけだ だからかな 君の言葉を聞くと安心するのは)


 『暫くお休みなさっては? 今は落ち着いているみたいですし...... 何かあったら伝えますから』


 ダルヘイムは彼女を心から信頼し任せる事にした。

 ダルヘイムの元を後にしヘルヘイムは回想する。


 (絶望ちゃんに亡き虫くん...... あの子達はちょっと危なっかしい所があるのですよね...... 無自覚に呪いを発動してしまう所は変わりませんか......)


 ーー場面は|迷針樹林(メイシンジュリン)へ変わるーー


 『何処にセウォルツは居るのだろう......』


 ヴァレナは前に見た夢を思い出す。


 (天界まで届かんとする大樹...... あれは間違いなく伝説として語られる神殺樹だ...... 天まで届くくらい高いのならばそろそろ見えてもいいと思うのだけど......)


 体を自在に伸縮させて迷針樹林を潜り抜けるヴァレナ。

 巨人と小人の混血は彼に突破口を開かせる。

 『抜けた…!!!』

 迷針樹林を抜けた先にあるのは・・・・・・

 

 ーー人口の殆どが赤ちゃんで占められる街

 ーー|邪赤街道(ベイビル・ロード)。

 彼の知らない光景がそこに広がっていた......

 

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