カエル勇者!しっぽ編。【アシタマジャクシ】
国語力 漫点
第1話 サンドイッチの少女
俺の名前は、いずれ【フロック】に、なるだろう。
俺は、前世の記憶を残したまま転生した。元勇者で——ッ!
俺は、魔王に敗れて最後に放った一言がきっかけで、人間の勇者からカエルの魔物へとジョブチェンジに成功した。
*
そして、とある村のオタマジャクシとして生を受けた俺は、故郷の池で
「ぁぁ……これで、やっと
そして、俺は今日、生まれ育った。
この
しかし、旅に出た俺は、とある問題にぶつかっていた。それは、名前である。
大人のカエルに成長した場合は、フロックと言う名前になるが……今の俺の姿は——カエルなのに、まだ尻尾が生えている。
果たして、今の俺は、カエルなのか? それとも、オタマジャクシなのか?
検索しても正式名称が出て来ない……
今の自分は、何者か!? 全くもって自分の事を判断出来ない。
そして、名前について、スっごく! 悩んでいた。
「カエルでもなければ、オタマジャクシでもない……
なら、名前は二つを足した名前にしよう。そうしよう!」
と、言う訳で……俺は、これから自分の名前を考える事にした。
「とりあえず、カエル、オタマジャクシ、ケロケロゲロッピー、ケロタマジャクシ、オッタマカエルジャクソン・ポーーッ、カエタマジャクシ、タマケロジャクシ、アシタマジャクシ、シシタマジャクシ、キャンタマジャクシ……
少し、悩んだが……
「よし——ッ!
今回は、キャンタマジャクシで行こう」
そして、俺の名はキャンタマジャクシことキャンタマに決まった。
と、思ったが……やはり、あまりにも……アレな名前なので、アシタマジャクシで行く事にした。
なので、俺は今日から
「名前も決まった!
俺の冒険が、今ここから始まる——ッ」
*
*
*
俺は、故郷を旅立ち……森を進んでいると、森の奥地に綺麗な池を見つけた。
その池は、大きさは差ほどではないが、水が澄んでいて、とても居心地の良さそうな池だった。
そして、俺は決めた——ッ!
「この池を俺の縄張りとする!」
俺は、この池に住むと決めた! そして、そうと決めた! 俺のとる行動は決まっていた。
まず、はじめに——先に暮らしている先住者達。同種の大ガエル達の事を征圧——ッ!
俺は、それを済ませると——この池のBOSSとなった。「ヘイッ! BOSS」
(悪いが、同じモンスターと言っても、育った環境が違い過ぎる。
お前達の様な生ぬるい環境で育った奴等など、相手にならんわッ! ケェーロ、ケロケロ——ッ!)
そして、俺は、その後。池の淵に海水浴用のイスとパラソルをセットすると、サングラスをかけて寝そべった。
「おい、そこの——お前……トロピカルジュースを持ってこいッ!
ダッシュでだ! ついでに、焼きそばパンも買って来いッ!!!」
その声で、数匹の大ガエルが慌てて動き出す!
「お前とお前は、俺をその大きな葉っぱで仰げ——」
すると、二匹のカエルが大きな葉っぱで仰ぎ出した。
「ケーロケロケロッ……愉快、愉快、ここは、俺の俺だけの楽園だ——ケコ……」
そんな感じで、俺が浮かれていると……突然、森の方が——ざわめき出した。
ざわっ……ざわっ……ざわっざわっ…………
「…………なんだ!? この、カイジみたいな感覚は……」
そして、姿を現したのは——リザードマンの群れだった。
しかも、そのリザードマン達は——あろう事か、俺の楽園である。この池を奪い取ろうとして来た。
勿論、俺は必死に抵抗をした。俺達の楽園である。この池を守る為に、仲間を守る為に必死で戦った……
しかし、仲間の大ガエルは……誰一人として一緒に戦ってくれる者は居なかった。
そして、俺は——健闘虚しく……一人。リザードマンに、ボコボコにされると池を追い出された。
「……これが、よに聞く。追放ものってやつか……無念……」
俺は、そう納得して——その場を逃げる様に後にした。
*
それから、俺は……ボロボロ体を引きずりながら、森の中を進んだ。
「くそッ! なんで、リザードマンなんかに——俺は、負けたんだ!?」
俺は、歩きながら……その事を考えていた。
…………数か……? いや、大ガエルを相手にした時も、かなりの数はいた。
ならば、何故? 負けたんだ……
そして、考えた結果出た答えは——ッ!
「武器だ——ッ!!! 武器が無かったから、俺は負けたんだ——ッ!!!」
それからの俺の行動は、早かった!
そこらに落ちている木を加工すると、棍棒を作り出した。
そして、冒険者の野営後で忘れ物のナベの蓋を装備すると——俺は勇者としての格が1ランク上がった。
「おお……やっぱり! 武器と盾を装備しただけで、雰囲気かなり違うな——ッ」
そんな感じで、浮かれながら森を抜けた。俺は、小さな村を見つけた。
「少し小腹も空いたし……この村で、休憩と食事にするか……」
そして、俺は村に足を踏み入れると——ッ。
「きゃぁぁーーー!!! モンスターよッ!」
「女、子供は下がれ! 男は、何でもいい——武器を取れ——ッ!!!」
「ちょ……ちょっと、待って——俺は……」
「黙れ——ッ!!! 化け物——ッ!!!」
俺は、問答無用でボコボコにされた。
しかし、もともとボコボコだったので……村が勘違いをすると、そこまで攻撃を受ける事もなく——騒ぎは、沈静化された。
「縛り上げろ!」
「このモンスター……普通に入って来やかって——ッ!」
「……ごめんなさい。申しません……許して下さい…………」
「誰が、魔物の言葉など信用するかッ! 早く始末するぞー!!!」
「いや、まて……まず魔物が話す事の方が、不思議じゃないのか……?
それに、コイツ。よく見ると……棍棒とナベの蓋をなんか装備して、格好だけなら冒険者ぽくないか……?」
「……確かに、そう言われて見れば……」
フロック……いや、アシタマは……あの時、リザードマンに負けた事で手に入れた。
棍棒とナベの蓋の装備のお陰で、命拾いをする事になった。
「話を……話を聞いてください。皆様——ッ!
俺は、実は冒険者で——悪い魔女の呪いで、この姿に変えらてしまったのです。
そして、証拠となるとは思いませんが……この傷を見て下さい。
俺は、この村に着いた時には——もう瀕死でした。
それは、この村の近くで凶悪なモンスターと戦闘をしていたからです。
信じてもらえるかは分かりませんが……俺は、本当に皆様に危害を加えるつもりはありません。
むしろ守りたいと思っています。信じてください……」
そう涙ながらに訴えると、一人の少女が駆け寄って来た。
そして、その少女は大人達に訴えかける。
「このカエル? さん……? が、村に入ってすぐに暴れていたら。
もう被害は出ているはず。まだ被害が出ていないって事は、このオタマジャクシ? さん……? が……悪者ではないって事の証明にならない?
私は、信じたい。だって、このカエル? さん……? からは、怖い感じは伝わって来ないから——」
そうして、少女の説得により。
村人達は、納得すると——俺を解放してくれた。
「改めて、自己紹介をする。
俺の名前は、アシタマジャクシことアシタマと呼んでくれ。濱田マリも可だ!」
そして、少女の必死の説得で——村人に受け入れられた俺は、自己紹介が終わると村人に、お腹が空いたので——何処か食事を取れるところは無いかと尋ねると、さっきの少女が駆け寄っくると——。
「アシタマさん。お腹空いてるの? なら、良いところを紹介してあげる。私のお店に食べに来てよ!」
そう言われたので、俺は——さっきの感謝も込めて、少女の店に行く事にした。
そして、そのまま少女に着いて行くと……宿屋に着いた。
「君の家は、宿屋だったのか……」
「そうよ。
でも、紹介したのは——ここじゃないの」
そう言って、連れて行ってくれた場所は……宿屋の隣の掘立小屋……屋台みたいな手作りの小さな店だった。
「ここは……?」
「ここはね……私の店なの——。
どう!? 凄いでしょッ!!!」
そう話す少女の目は、キラキラと輝いていた。
俺は、そんな少女を見て嬉しくなると……
「ここの店では、どんな料理を提供してくれるんだい?」
「ここはね。サンドイッチ屋さんなの——。
今日、取れたての新鮮な野菜とハムとチーズを挟んだサンドイッチが、オススメよ!」
俺は、少女のオススメを注文すると……
「じゃ〜、それを頂こうかな」
少女は、喜んで調理に取り掛かった。
「任せて——アシタマさん。世界一美味しいサンドイッチを作ってあげるわ——ッ!!!」
それから、出来上がったサンドイッチを俺が「美味しい、美味しい!」と言いながら食べると、少女は跳ねる様に喜んていた。
その姿を見て、自分も嬉しくなった。
(ぁぁ…….きっと、この子は——近い将来。いい料理人になる……)
*
それから俺は、怪我が完治するまでの間——この村で、お世話になる事になった。
そして、怪我が治るまで——やる事の無い俺は、村を見て回ると——何故か!? 少女は、いつも俺の後をくっついて来た。
「ねぇ、アシタマさん。今日は、何処に行くの?」
「今日は、サンドイッチのお礼に——君に何かプレゼントでもしようかな——」
「えっ! 本当!? 嬉しい——ッ! アシタマさん。大好き——ッ」
そんな彼女と俺の姿を見て、村人達も少しずつ心を開いてくれる様になって来た。
「今日も、お二人さんパトロールかい?」
「そうなの。私とアシタマさんで、村に魔物が入って来てないか確認しているのッ!」
「ハハハハハハッ……それは、傑作だ!」
「いつも、ありがとうね。二人とも——」
そして、傷も治りかけてきた頃——。
俺は、旅立つ前に……村近くの池を調べに行く事にした。
それは、リザードマンが——この村を襲撃しないか心配しての事であった。
「あの時は、俺一人だけ。追い出されたが……他の大ガエル達は、大丈夫だろうか?
リザードマンに、虐められていないだろうか……」
そんな事を心配しながら池を覗くと……
大ガエルとリザードマンは、仲良く暮らしていた。
「…………何で? ケコ……」
俺は、真相を確かめるべく……姿を隠しながら、もっと近づく事にした。
そして、アイツらの声が聞こえて来る!
「リザードマンさん達のお陰で、この池が前より平和になりました。
本当にありがとうございます!」
「いやいや、こんな素敵な場所を独占しようなど誰も思いませんよ。
私達も、大ガエルさん達のが居る。お陰で、とても助かっていますから。
まぁ、一人——例外を除いてですが……」
「ああ、アイツの事ですか!? アイツは、いきなり我々を征圧して、その後! 助けを求めたリザードマンさん達にボコボコにしてもらって、本当にスッキリしました!」
「また、何かあったら言ってください。力になりますから。
まぁ、アイツは——もう戻って来ないと思いますが——ッ。アハハハハハ……」
「そうですね。アハハハハハッ……」
*
「…………アイツら、俺を馬鹿にしやがって——ッ!!!
でも、今は——アイツらが村を襲わない事を確認出来れば、それで良い……」
そして、二種族の話を聞いていると——気になる話が持ち上がって来た。
「そう言えば、こんな話を聞いたのですが……」
それは、最近——この付近のゴブリンの集落で、大量のゴブリンが成人した。と、言う話であった。
それにより発情期には、大量の女性が攫われる。恐れがあり——。
念の為に、大ガエルやリザードマン達も警戒するとの話であった。
それは、発情期になったゴブリン達は——見境がなくなり。メスを攫うだけではなく……攻撃的になる傾向にある事もあげられる為であった。
そして、その中でも一番警戒しなくてはならないのは人間……の女性だった。
ゴブリン達は、間違いなく。人間の女性を攫いに来る。
それが、少女であっても見境なく……
その事を知った俺は、どうするべきか……考えるよりも明らかだ——ッ!!!
人間達を必ず助ける。
しかし、この辺一帯の村々を人達、全員を非難させるには、時間と場所がない……そう、とくに時間がないのだ。
ゴブリン達は、成人している為に——いつ人間の村を襲いに来るとも限らない。
そして、その後も大ガエルとリザードマンの話に聞き耳を立てるが、有力な情報は得られなかったので……
俺は、直接——ゴブリンの集落を探し。情報を調べる事にした。
そして、ゴブリンの集落に潜入して情報収集をしていると、近日中にも人間の女性を攫う計画が練られていた。
それから、俺が細かい情報まで調べて終えた頃には、辺りは——すっかりと暗闇になっていた。
しかし、俺は夜目も聞く為に——急いで世話になった村に戻ると……村は、静まり返っていた。
そう、村人は——皆んな寝てしまったのだ。
だから、俺は一人……世話になった村に恩を返す為に、強力な結界を張る事にした。
そして、俺は——まず自分の魔力を唾液に混ぜて、村を大きな円で囲うと……唾液で魔法陣を描いた。
「ぜぇ……ぜぇ…………唾液が、すっからかんだ。皮膚もパリパリに乾燥しやがる……だが、俺は——やるッ!!!」
そう言うと、井戸水を汲むと浴びる様に飲んだ。
そして、MPポーションで魔力を補充すると……また、口から唾液を垂れ流しながら……残りの魔法陣を完成させた。
そして、最後に残ったのは……
「いつも、俺にサンドイッチを作ってくれる。
あの子のお店——ッ。ここだけは、絶対に守ってやる!」
アシタマは、その気持ちで——少女の屋台に入念に結界を張った。
そして、張り終えると……
「皆んな……今まで、ありがとう。
もう傷は癒えた。俺は、このまま次の村に向かう……他の村も救いに行く——ッ!」
アシタマは、静かな街に——そうお礼を告げると……次の村を結界で救う為に向かった。
*
翌朝、村人達が目を覚ますと——。
「おいッ! 何だ!? この悪臭は……
しかも、何で村全体が——ヌメヌメ、ベトベトなんだ!」
「誰か、状況を説明してくれ——ッ!」
村人が目を覚ますと、村は大混乱——ッ!
村の至る所で、人が……滑って転んで……滑って転んで……
そして、村人達は皆んなで——今村が置かれている状況を把握しようと、痕跡を調べる事にした。
すると、アシタマの足跡や手形が、至る所にビッシリとついている事に気づいた村人達が、怒り出した——ッ!!!
「あの——ッ……半端ヤロウ!!! ただじゃおかね——ッ!!!」
「あんなに、良くしてやったのに……村をこんなにしやがって——ッ!!!」
「アンなら、アイツの居場所知ってるんじゃないのか——ッ!? アンを探せーーー!!!」
そして、村人達が——アンを探す為に、サンドイッチの屋台に来ると……
そこには、膝から崩れ落ちる。アンの姿があった。
「…………アン……」
「これは、ひどい……無茶苦茶だ……」
そこには、唾液でベトベト、ヌメヌメ、メチョメチョの屋台が……
「なんで……なんで……アシタマさん……私の何がいけなかったの…………」
そして、崩れて落ちる。アン……
それを見守る。村人達……
すると、アンが——いきなり笑出したッ!
「アハハハハハッ! アハハハハハハハハ……
覚えてろ……見つけ出して、必ず——ッ。
殺してやる——ッッッ!!!」
*
一方、その頃。アシタマさんは——。
「ふぅ〜……昨日は、ゴブリンの集落に近い村だけで、精一杯だったから。
今日は、この辺の村——全てに結界を張るぞーーー!!!
頑張るぞーーー!!! えいえいおー」
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あとがき
面白いと思った方は、本編の方も読んで頂けると嬉しいです(((o(*゚▽゚*)o)))♡↓↓↓
https://kakuyomu.jp/works/16818093090925187007/episodes/16818093090925413949
カエル勇者!しっぽ編。【アシタマジャクシ】 国語力 漫点 @kokugo0
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