第5話 告白

それから2時間カラオケで盛り上がって、今日は解散ということになった。

帰ろうとするが、ここでもう外が暗いことに気づいた。

俺と結菜さんは同じ方角だ。

『夜くらいし、一緒に帰らない?』

『あっ、はい』

ここから2人だけの空気となる。

『結菜さんはどうして勉強頑張ってるの?』

純粋に今まで知らなかったことだ。

『薬剤師になりたいの。だから、いい高校や大学に行って夢を叶えたいと思ってる』

『薬剤師か。すごいね。応援してる』

『ありがとう』

彼女には夢をかなえてほしい。でもそうなるとまた、来年以降は新型ウイルスの感染が拡大して青春はないし、高校は勉強漬けの日々だから、気持ちを伝えるのは今しかないか。

『あのさ、俺にも目標というか…えっと』

『???』

『あっ!私、こっちだから。またね』

今までの俺ならここで下がるが、

『ちょっと待ってくれ!!』

大きな声を出してしまった。

彼女は少しびっくりした様子で俺を見ている。

『俺、結菜のことが好きだ』

『っ!!』

真っ赤になった顔を手押さえる、見覚えのある仕草。

『俺と付き合ってください』

頼む!お願いします!!

『ありがとう。 正直、晴哉のこと最近まで何とも思ってなかったけど、この前の体育の時にカッコいいなと思ったよ』

『私で良いなら。よろしく!!』

『じゃあ、また学校でね!』

『あっ、うん』

その後の事は覚えていない。

ただ黒い夜道を自転車で走り、家路に着いた。


数時間後、我に帰ると結菜さんからLINEが来ていた。

『改めてよろしくね♥』

結菜さんが遂に俺の彼女となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る