物語の絵が見えてくる。絵柄は人それぞれだろうけれど、「西洋風ファンタジー」な物語とその絵が、一首読むごとにはっきりと浮かんできました。
詠まれているのは、「とある臣下」。主君として仕えることになった人物と謁見し、一目で恋に落ちてしまった。
しかし、二人は同性。それだけでも結ばれない。
更に、臣下と主君。身分も違えば性別の面でも結ばれることは許されない、あまりにもハードルの高過ぎる恋。
そんな葛藤をしつつも揺れ動くことがやめられない。どうにかして気持ちを別のところに向けようとする努力。
そうした想いを抱えた先で、二人が取る決断は。
十行の短歌を読み進める中で、美しい姿をした騎士と主君の二人の姿がありありと浮かび、彼らの物語をはっきりと見て取ることができます。
一分で味わえる、重厚な愛と葛藤のファンタジーでした。