第6話 風と地の調和
リプトスの村は、自然との共生を何よりも大切にしていた。大地の恵みは唇音の魔法で呼び覚まされ、風はその調和を運ぶ役割を果たしていた。
メイは村の女性たちと共に「風と地の儀式」に参加することになった。彼女たちは輪になり、唇を動かしながら歌うように呪文を唱える。その声なき旋律が、周囲の木々を優しく揺らした。
唇音の歌
「b... 土を抱きしめる力
p... 種を運ぶ風のささやき
m... 命をつなぐ母の鼓動
f... 花を咲かせる希望の光」
メイもその輪の中で歌い始めた。唇音の呪文をリズムに乗せて唱えるたびに、足元の土が震え、風が髪を優しく撫でていく。
「自然は答えているわ」
村の長老が目を細めて言った。「君には特別な才能がある。唇音を通じて自然と語り合う力が」
メイはその言葉に励まされながらも、自分の中に眠る旋律をさらに深く探りたいという思いを抱いた。
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