第7話 恋のライバルかも!?レモンちゃん

「なぁコッペ・パンはん」

「どうしたのお好み焼き君」

「最近な、唐揚げが年上のべっぴんさんと仲がいいらしいねん」

「そうなんだね」

「……ありゃ、反応それだけなんか」

「ふぇ?」

「なんかもう少し興味持つと思ったんやけどなぁ」


私が興味を?どうしてそう思ったのか分からないけど、よく分からないや!よく分からないから学校まで白線だけ渡ることにしよ!


「今な〜らぁばぁどぉ〜れほど〜よ〜かったで〜しょ〜う!」


あぁ、歩きながら誰かが歌ってる!これっていい曲だなね。レモダケンコのlemOn。心に響く名曲ってこういう事だ!それにしても歌がすごく上手いなぁ。

えぇと、前を歩いてる女の人がそうだよね?


「おいコッペ・パン!何のそのそ歩いてゆだっよ!」

「あっ!白線から落ちた!……唐揚げ君私死んじゃったんだけど!」

「……は?何言ってんだお前」


もう、男子って最低!ぷんぷん!


「あれ、それにさっきまで歌ってたお姉さんも居なくなっちゃった……唐揚げ君のせいだからね!」

「はぁぁあ!?なんなんだよ!」


せっかく聞き惚れてたのになぁ。


曲が途中で終わった事、白線から落ちた事の2つの悲しみを引き攣りながらも、今日も学校は始まる。


「は〜い皆さん注目です。なんと今日は音楽の特別教師としてですね……あの有名歌手のレモダケンコさんが来ました!」


え!嘘……ちょうど今朝考えてた人が来るなんて、これって奇跡なの!?


「ど、どうも〜レモダケンコです……その、よろしくお願いします」


あぁ、謙虚で大人って感じの女性。

それに今朝見た人にソックリなような……まぁ、気のせいだよね!


「レモダケンコだー!俺あなたのファンなんですよ!あの……麺にレモンかけてください!」


あ、焼きそば君もファンみたい。


「えぇと……はい、プシュー」

「心に染みるー!ありがとうございます」


うーん、染みてるのは心なのかな?


「……なぁコッペ・パンはん」


小声でお好み焼き君が話しかけてきた。どうしたのかな。


「この人な、確か唐揚げと最近よく一緒にいる人や」

「え、そんなまさか。だってレモダケイコさんって有名人だもん」

「いーや、確かに街を一緒歩いてるとこ見たんや」


え、まさか、本当に?

でも、それがどうかしたの?私には関係なんて……


関係無いのは分かってるのに、折角のレモダケイコさんの歌もなんだかあんまり入ってこなかった。


「コッペ・パンさん元気ないですの〜どうかしたのです?」

「うぅん……なんでも無いよ。ありがとう栗きんとんちゃん」


私ったら、どうしたのかな。


そうして、時間は昼休みになった。

あぁ、食欲も湧かないや。


「おや、コッペ・パンさん落ち込んでいますね」

「卵先生……先生にもそう見えますか?」

「はい、パンにポカンと穴が空いていますから」


え、穴が空いてるなんて気づかなかった。


「……コッペ・パンさん。何か悩んでいて、相談があるのならいつでも聞きますよ」

「卵先生……」


先生はやっぱり、優しいな。


そうだ、1回考えよう。


「クンクン、これは匂いますわたすぃの鼻があなたを示しました!」

「え、ブルーチーズ先輩……私って匂いますか?」

「あ、違くて、悩む匂いですぅ」

「悩む……匂い?」

「助言かは分かりませんが、もし誰か4誤解があるならその人と話して見るといいですよ!貴方なら、それができます」

「ブルーチーズ先輩、ありがとうございます」


……うん、そうだよね。話さないときっとこの気持ちはスッキリしない。

私、行こう!


「あ、コッペ・パンじゃーんどこ行くんだー?」

「あ、焼きそば君」

「なんか急いでるっぽいけど……唐揚げか?」

「え、分かるの?」

「そりゃ、ずっとお前の事みてる俺には分かるさ!唐揚げは音楽室に居るぜ!……あぁ、だから行ってこいよ」

「うん、ありがとう焼きそば君!」


ねぇ、私にも分かるよ。焼きそば君が今悩んでること。……ごめんね、ありがとう。



「───唐揚げ君!」

「……あ、コッペ・パンじゃねえか。どうかしたか?」

「あのね……唐揚げ君ごめんね!」

「は?」

「今朝、怒ったこと……ごめん!」

「なんだそりゃ、別に気にしてないっての」


ううん、そうじゃない私。もっと素直になって。


「あと、レモンさんについて……一緒に居たって聞いて……私、心が変な感じになってた!」

「は、はぁ!?なに言ってんだよ……それにレモンは別にあれだし……従姉」

「うん、従姉……そうなんだ。あのね唐揚げ君。私今回の件で分かったよ」

「な、何がだよ」

「きっと私……唐揚げ君のこと、すごい大切に思ってる」

「んっ……んー。おもしれぇ女!そんなのずっと前から知ってたっての!」

「私、唐揚げ君を一目見た時から……美味しそうで!だから他の誰にも取られたくない!」

「え、そこは唐揚げパンになろうってとこじゃねぇのか?」

「ううん、食べたいの!お願い……カリッとジューシーな唐揚げ君を……1口、1口でいいから食べさせて!」

「お、おい……来るな!来るなぁぁぁあ!」

「もうダメ我慢できない!あっ!ジューシィぃ!」


「っていう夢を今日見たんだよね」

「ふふコッペパンさんの話は面白いですの〜」


「お〜いコッペ・パン!サッカーやるから今日も見に来いよ〜」

「あ、唐揚げ君!今行くから待ってて!」


これは私コッペ・パンがイケメン達と紡ぐラブストーリー。決して、さっきの夢とは違い決して覚めることの無い……現実だ!


(完)

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熱々惣菜学園 ゆずリンゴ @katuhimemisawa

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