第4話 寝起き

鳥のさえずりで目を覚ます。

 昨日も、一昨日も、そして明日も変わらずそこにある温もりを感じながら目を開くと、そこには私の恋人が微笑んでいた。金色の髪が、窓からの朝日を反射してさらりと流れる。


 「おはよ、起きてる顔もかわいいね」


 桜色の唇から紡がれるのは、世界中で私だけに向けられた愛おしそうな声。

 寝ている顔を見られたことも、寝起きの顔も恋人に見られているのがなんだか恥ずかしくて、顔を隠すように彼女の胸に埋める。


 「ふふ、今日は甘えたさんの気分なのかな?」


 ダメだ、この恋人は私の心の何もかもを見透かされている。心臓の鼓動は弾けそうなほどに強くなるけれど、どうしてかそれが心地よい。

 優しく撫でるように寝癖で乱れた髪を手ぐしでとかされる。どうしてか彼女の指先で触れられた場所は、火傷しそうなほど熱くなるのだ。

 彼女の声は甘く熱く私の脳を溶かす。


 「このままゆっくりと過ごすのもいいけれど、この前、僕のお気に入りのカフェに連れていきたいって話をしただろう? 今日は、僕に君の時間をいくらかくれないかい? デートがしたいんだ」


 この声の主に、私の愛しい恋人に、私は逆らうことができない。私は耳まで顔を赤く染めながら、消え入るような声で、「うん」とうなづくことしかできなかった。


 「よかった。あの店はモーニングがオススメなんだよ。いこっか、一途」

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