第2話 お仕事応募

そこからも変わらず健はホラーアルバイトの動画を見ていた。


周りからはあの一件以来また見てるのかよという雰囲気を感じる。


健も以前ほど更新情報を共有しなくなった。




そんなあるとき、いつものように朝の通学時間に動画を見ていると、今日は珍しく更新が途絶えていた。


最新のが見れなくてガッカリしながらも何となく過去の動画を遡っていた。


するとある事実に気がついた。


だいたい動画の更新は午前2時半前後に行われていた。


もちろんピッタリという訳ではなく、2時の日もあれば、2時47分なんて日もあった。


これは偶然なのか、故意に狙っているのか。


この日は帰る時間になっても最新動画は上がらなかった。




そんなことを気にしていたからか、夜なかなか寝付けず、いよいよ時計は2時を指していた。


明日も学校だし早く寝なければと思いつつ、今日上がってない分最新動画を見たい気持ちが強くなっていた。


もう少し、もう少しと思っているうちに気づけば2時25分を回っていた。


これはもしかしたらすごく早く見られるかもしれないとそのまま更新を粘ることにした。




その日は2時32分に動画が更新された。


普段と同じようにアルバイトの募集と書かれており、場所が詳細に書かれている。


内容はマンションの4階から1階までの鍵が閉まっているか確認する作業だった。


危険事項としては途中で住人らしき人に出会うことや鍵が開いている場合があること等が書かれていて、それぞれに生存確率が示されている。


給料欄には何億という数字が書かれていた。




ありえないと思いつつコメント欄にはまだ2件ほどしかついていない様子を見て、応募しようと思い立った。


前回だって定員に達しましたとなっていたし今回もそうだろうという気持ちと、もしかしたらという気持ちが半分ずつだった。


緊張しながら再び、今度は一人でQRコードを読み込む。


暫く黒い画面に読み込み中の文字。


待っている時間がとても長く感じられた。


黒い背景に赤い文字でご応募ありがとうございますという文章。ここまでは前回と同じだった。


スクロールと出てきて下に進むと前回とは異なり誓約書が出てきた。




応募するにあたり命の保証はありませんが、それでも応募しますかの文字。


手に汗を握りながら『はい』を選択すると画面が切り替わり、白地に黒い文字で注意事項が表示された。




・仕事をした場合、見聞きした内容は全て口外禁止です。


・もし命を落とした場合も、こちらでは保証致しかねます。ご応募の際は慎重にお願いいたします。


・お仕事終了後は所定の口座に給料を振り込ませていただきます。分割でのお振込も可能ですが、手数料が発生した場合はご自身での負担となります。


・お仕事をした場合、精神的ショックを伴う場合がございます。どうしても日常生活が困難な場合は記憶を抹消させていただきます。その際にかかる費用は給料から天引きさせていただきます。


上記内容をご理解、ご納得頂ける方は下の『はい』を押して進んでください。




本物らしい表示に驚きと恐怖が綯い交ぜになる。


証拠にスクリーンショットを残し、『はい』を押した。


その後は住所や氏名、年齢を入力する欄があり、しっかりと身分証の写真も求められた。未成年の応募は禁止らしい。


全てを入力し終えると、希望日が表示された。


半分疑いつつもここまで来ると引き返せなくなっていた。


希望日には授業のない土曜日を選択した。

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