第4話


その中でもレーナの癒しになっている人物が二人いる。

一人は同じ聖女として働いているエイブリー・リリース。

ジェイデンが恋心を寄せる少女だ。


可愛らしい見た目と豊満な胸、それに加えて他の貴族の令嬢達と違い、性格が段違いにいい。

他の貴族の令嬢との違いに毎回、レーナは驚いていた。

他の令息達にかなりモテるらしく、婚約の申し出が絶えないらしい。

エイブリーは他の令嬢達から嫌われているのだと、あっけらかんと言っていた。

レーナ以外の聖女達の中でも力は一番強く、好奇心旺盛で意外にもサッパリとした性格は好印象であった。


それに毎日、レーナに付き添って仕事の手伝いをしてくれている。

才色兼備で天香国色。

美しい金色の髪と桃色の大きな瞳は天使のようだ。

『金色の女神』と呼ばれるエイブリーは町に降りても凄まじい人気っぷりである。

それが尚更、他の令嬢達の反感を買っているようだ。

一緒に教会に出向く時、聖女達は「いい子ぶっちゃって、むかつく」「あんな子がジェイデン殿下に気に入られてるなんてあり得ないわ」「本当、目障り」そんな声がここまで届いてくる。


そしてエイブリーはジェイデンに全く興味を持っていない。

しかし嫉妬からの悪口や嫌がらせは毎日毎日、レーナの耳にも届く。

目に余る他の聖女達の行動を見て、レーナも気分が悪い。

しかしエイブリーは素知らぬ顔である。



「エイブリーは辛くはないの?」


「いいえ、全く。真面目に働いた方が自分のためにもなりますし、面倒なパーティーやお茶会は免除されますから」


「そう。貴族の令嬢も大変ね」


「それにレーナお姉様と話している時間が、わたくしにとっては幸せなんです!」


「でも……」


「ゴミカスが何を言っても関係ありませんから!」



満面の笑みでそう言ったエイブリーはとても可愛らしい…が、少々口が悪い。

心の赴くままエイブリーの頭を撫でていると、彼女は嬉しそうにしている。


「お待たせしました。レーナ」


「クリフォード殿下、おはようございます」


「おはようございます。今日もレーナは美しい。この国では珍しいブラウンの髪も瞳もレーナにしかない魅力ですね」


「ありがとうございます」


「レーナに会えた今日は頑張れそうです」


「大袈裟ですよ」


「いいえ。レーナは自分の魅力をわかっていない。こんなにも強く美しい女性は他にいません。まるで女神キディルートのようですね」


「あはは……」



毎回顔を合わせるたびにレーナを褒めてくるのは、この国の第一王子であるクリスフォードだった。

彼はこの国の魔法騎士団の団長で、虫も殺せないような上品な顔立ちとは真逆で『銀の騎士』の称号を持つ、凄腕の剣士のようだ。

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