第4話

「飯は誰かと食べたほうが美味いんだよ」



「私はもう食べ終わり……」



「ほら、タコさんウィンナーと玉子焼きをやろう」




座った(座らされた)私の太腿の上に先生は弁当のフタを置くと、その上にタコさんウィンナーと玉子焼きを置いた。



タコさんウィンナー……。




「これは先生が?」



「おうよ。上手いだろ?」




ニコニコ笑って、自分のタコさんウィンナーを口に入れる先生。




「熾音(しおん)が好きなんだ。あっ、熾音ってのは息子な」



「ハァ」




どうしよう……食べないとダメだよね。



食べ物を口にするのはあまり好きじゃない……。



でも先生の好意を無下にするわけには




「いただきます」



「おうっ」




嬉しそうに笑いながらご飯を食べる先生の横で意を決してタコさんウィンナーを口に入れる。



これは栄養。


生きるのに必要なもの。




「美味しいか?」



「……っ、ハ……イ。美味しい……です」




その勢いのまま玉子焼きも。



そして、お茶で流し込む。




うぅ……。




「東雲」



「はい?」



「お前は」





〜〜〜



先生の言葉を遮り、私のスマホが着信を告げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る