第5話
「出てもよろしいでしょうか?」
「どうぞ、どうぞ」
許可をいただき、先生から離れる。
着信元は
“灰谷”
「はい」
『rain』
「……」
『仕事だ』
「はい」
『ーー』
「わかりました。では」
要件だけの通話を終える。
今日の夜はどしゃ降りのようだーー。
「終わったのか?」
「はい。バイトを交代してほしいとの電話でした」
「バイト」
「では、先生。私はこれで。ごちそうさまでした」
頭を下げ、持ってきたコンビニ袋にまだ残っているお茶をいれる。
ゴミが落ちてないかを確認して歩き出す。
「東雲」
「??」
「お前はどうしていつも一人でいる?」
率直な質問。
イジメられていると思われているのか。
なるほど。
「望んで一人で居ます。イジメられてなどいませんので、私のことはどうぞお気になさらずに」
もう一度頭を下げた。
人殺しに、友などいていいはずもない。
ただ、一人静かに高校生活を送るだけ。
「放っておける訳ないだろうが」
背中にそんな言葉をかけられるが、聞こえないふりをした。
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