第2話
「昨日はごめんね!
「…話の流れからして、その『せれな』って奴が昨日の女か?」
「ああ、うん…そう」
昨日の件はどういう風に伝わってんだろうな。
つか、この女子の名前何だっけ?昨日聞いた気がしたけど。
「何だっけ名前…ここまで出かかってるんだけど…め、め、め…」
「芽衣よ!」
「おお、それそれ!いやあスッキリした」
「もー、まあ今日は顔みて話してくれるし、いいけど」
「要注意人物の顔は憶えないとな」
「そんな理由!?」
ああ、何かイマドキ女子高生って感じだな。
明るめの髪をシュシュで束ねてる、普通の女子だ。
「髪色以外に特徴が無いな…どうやって覚えよう」
「そんな事ないでしょ!これでも結構告白とかされるのよ!」
「告白…嘘…うっ、気持ち悪い…」
「あ、ごめんなさい…大丈夫?」
「触るな…女に触られると、最悪吐くから…」
「…病院行ったほういいんじゃない?」
「行ってるよ」
「あ、そうなんだ…じゃあ大丈夫ね、いや大丈夫じゃないのね…」
「…まあ同級生くらいなら、まだなんとか大丈夫だ。母親位の女だと無理だけど」
「大変なんだね…」
そうだよ、大変なんだよ。
「面倒だろ俺、早くどっかいけ」
「それ聞いて放っておける訳ないでしょ!」
「お前いい奴だな、男だったら良かったのになぁ…」
「…そう言われても複雑なんだけど。え、まって、男って…そういう事…?」
「俺にそっちの趣味は無い!」
女嫌いだからって男に行く訳無いだろうが!
「ま、まあ病気なんでしょ?そういうのは協力するから言ってね?」
「…わかった、ありがとう」
「えへへ、ちょっとウチの好感度上がった?」
「調子にのんな、あっちいけ」
「はーい、トイレ行ってこよっと」
飽きもせず、よく話しかけてくるよな、本当に。
…そして、こいつも。
「…ねえ、ちょっといい?」
「なんだ、星沢 瀬令奈」
「…名前憶えたのね、佐藤
「危険人物だからな」
こいつは要注意じゃない、出来れば関わりたくない。
だから憶えた。
「…悪かったわ」
「何が」
「…昨日の事」
「だから、具体的に何の話が?」
「…あれから色々調べて、あんたが病院に通ってる事聞いたの。PTSDだって…」
「…ったく、人のプライバシーを」
「芽衣にはさっき教えてたじゃない」
「自分から話すのと、他人に探られるのは違うだろ」
「…そう、だけど」
「はぁ、それはもういいから話進めてくれ」
「…それで、そんな男が芽衣につきまとう訳無いって思って。あと、中学時代のあんたの知り合いも、少数だけど…佐藤を庇護する声もあったし」
「大体は男子だろそれ」
「…そうよ」
一時期、教室が2つに割れたからな。
結局、女子の意見に傾いちまったが。
「で、それが何だよ」
「…昨日言った事、謝ろうと思って」
「謝ってどうするんだ?」
「…許してもらおうと」
「断る」
「!?」
…本当に馬鹿だな、女ってのは。
「何で『許してもらえる』のが前提で謝罪しに来てるの?」
「…え?そ、それは、そんなつもりじゃ」
「いやお前自分で、たった今、言っただろ?」
「う…でも、それじゃあたしの気が済まないの!」
「なんで俺がお前の気分に配慮せにゃならん?気分を害したのは俺なのに」
「そ、それじゃ…どうすればいいのよ!」
…これだ。
がっかりだよ。
「…やっぱりお前も、都合が悪くなると逆ギレして誤魔化すんだな」
「…ちょっと、そんな…そんな目で見ないでよ」
…俺、今どんな目してんだ?
まあいいか。
「別に星沢はさ、謝る必要ないんだよ」
「…あんた、何言ってるのよ」
「俺が女キライで、差別してるのは事実だし、そこに俺の事情は関係ないだろ?実際お前の事キライだし、今まで通り『佐藤 司はクズ男』って言いふらしてればいいよ」
「あ、あんたは…それでいいの?」
「いいよ別に、そんで頼むから他の女子共々、俺に近づかないでくれ。それが俺が一番喜ぶ方法だ」
「佐藤、あんた、そこまで…なんてことなの」
「やめろ、同情すんな、さっさとあっち行け」
休み時間無くなっちまうだろ。
「…分かった、でも謝罪はしておく…許さなくていいから、ごめんなさい」
「そうか」
…行ったか。
はぁ、また時間使っちまったな、トイレ行っておくか。
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