バッティングセンター(百合脱衣日常)

HiroSAMA

バッティングセンターにて ― 百合編・脱衣ルール

「ねえ、奈央。どうせ見てるだけならさ、私とゲームしようよ。」

バットを握りしめた梢が、バッティングボックスから振り返る。


「ゲーム?」

スツールに腰掛けていた奈央は、少し退屈そうに梢を見上げた。薄暗いバッティングセンターには二人だけ。他の客の気配もなく、静まり返った空間にはボールを発射する音だけが響いている。


「うん、私が一球でも打てたら、奈央が一枚ずつ脱ぐっていうルール。」

梢は冗談めかしたような口調で、しかし目を輝かせながら提案する。


「はぁっ!?」

奈央の顔が一瞬で赤く染まる。


「なんでそんな変なルールになるのよ! 他にもっと普通のゲームがあるでしょ!」


「だって、そういうののほうが盛り上がるじゃん。」

梢は無邪気に笑ってみせる。


「いやいや、そもそも打てる気がしないし……」奈央はバットを構える梢を見上げて、小さく溜め息をついた。


「じゃあ、奈央にはノーリスクってことだね。」梢は挑発するように微笑む。


奈央はその視線に少しムッとしながら、軽く肩をすくめる。「いいわよ、どうせ当たらないだろうし。」


「よーし! 覚悟してよね!」

梢は得意げにバットを構えると、バッティングマシンのスタートボタンを押した。



---


「カツッ」

十球目、梢のバットがようやくボールに当たる軽い音が響いた。ネットに転がるボールを見て、梢が飛び跳ねるように喜ぶ。


「やったぁ! 奈央、ルール通りだよ!」


「うっそ……」

奈央は目を丸くし、呆然とボールの行方を見つめる。


「はいはい、まずは一枚脱いで♪」

梢が嬉しそうに奈央の前に立つ。


奈央は観念したように、まずカーディガンのボタンに手をかける。



---


脱いだカーディガンをスツールの背もたれにかけた奈央は、小さくため息をついた。

「……なんでこんなことになってるんだろう。」


薄手のシャツが汗に張り付き、奈央の肌のラインをうっすらと浮き上がらせている。緊張と恥ずかしさで体温が上がったのだろうか。額に滲んだ汗を手の甲で拭う仕草が、どこか色っぽさを漂わせている。


梢はそんな奈央の姿を見て、なぜか胸が高鳴るのを感じた。普段は冷静で口うるさい奈央が、今はこうして自分の前で恥ずかしそうにしている。

「奈央、やっぱりかわいい。」


「はぁ!? 何言ってんのよ!」

奈央は慌てて顔を背けた。だが、梢の言葉が頭から離れず、鼓動が早まる。



---


その後も梢は粘り強くスイングを続け、何度かボールを当てた。奈央はそのたびに渋々脱いでいく。靴下、スカート――残り少なくなる衣服に、奈央の羞恥心はますます高まる。


汗が肌をうっすらと覆い、薄暗い空間の中で奈央の白い肌がかすかに光を反射する。自分の体を抱きしめるようにして隠しながら、奈央は小さく震えていた。


「もう……これ以上は無理……!」

奈央は涙目で梢を見つめる。


「でも、もうちょっとで全部――」

梢の言葉が終わる前に、奈央はバッと立ち上がった。


「バカ! もう付き合ってられない!」

奈央は脱ぎ捨てたカーディガンを手に取り、そのまま出口に向かって走り出す。



---


梢が追いついたのは、バッティングセンターの外の路地だった。


「奈央、ごめんね。やりすぎた……?」

梢は気まずそうに声をかける。


奈央は立ち止まり、振り返る。額の汗を手の甲で拭いながら、まだ頬を赤くしている。


「……やりすぎだし、恥ずかしいし……もう知らない!」


そう言いつつも、奈央の目にはどこか寂しさも混じっているのを梢は見逃さなかった。


「でもさ、奈央がこんなに一生懸命恥ずかしがるの、私だけが見ていいんでしょ?」


「なっ……!」

奈央は再び顔を赤くして梢を睨む。


「もう次はないから!」


「わかった。でも、また来てくれるよね?」


奈央は何も言わずに歩き出したが、その後ろ姿を見ながら、梢は小さく笑った。

胸の中にわき上がる温かい感情を感じながら、次の約束を心の中で楽しみにしていた。


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