第4話 武神は武器屋で働く
「ふふっ、それじゃあさグラディ、僕の武器屋で一緒に働いてよ」
「ぐ、グラディ!? なんだその呼び名は!?」
我は武神グラディウスぞ? 聞いたこともない呼び名に我は驚く。
「あれ? 嫌だった? 僕はグラディウスって呼んでたら周りから勘違いされそうだし、グラディの方が呼びやすいから良くない?」
ぐぅ……我がそのグラディウス本人だと言うのに……
「それに、なぜいきなりタメ口になったのだ?」
まあミルは我のことを武神グラディウスだと信じておらぬから、我はタメ口でも構わんのだが、急に口調が変わったから我は疑問に思ったのだ。
「だって、グラディは、僕に武神グラディウスだってことを認めさせたいんでしょ? 一緒にいるなら、タメ口の方が気軽で楽じゃん!」
そ、そうなのか……人間との関係は難しいものだな。
「ん? そういえばミルよ、先ほど我に武器屋で働けと申していたか?」
「うん! だって僕と一緒にいるってことは、ここで働くってことなんでしょ?」
ぐっ……別にそういう意味で言ったわけではないのだが……
「我は神ぞ? 武神であるが故、あらゆる武器には精通しておるが、働き方など全く心得ておらぬ」
すると、ミルは笑顔で我に言う。
「大丈夫だよ! 僕が一から教えるから!」
神が人間に何かを教えてもらうなど、我のプライドが許さぬのだが、我は今、ただの人間。ミルの提案を、我は甘んじて受け入れることにした。
「うむ……我がここで働けば、ミルは我の存在を信じるのだな?」
我がそう問うと、ミルは小さく笑った。
「まあ、それはグラディの頑張り次第かな〜」
そうか、我がミルが驚愕するような成果を出せば、ミルは我のことを信じるということか!
「良いだろう! ミルよ、我をここに雇うことを許可しよう!」
所詮は人間の所業、人間にできて神に出来ぬことなどない!
「良かった〜! 僕の武器屋、僕と妹しかいないから、ちょうど1人雇いたかったんだよ〜! これからよろしくね! グラディ!」
ミルはそう言うと、我の前に手を差し出してきた。
「な、なんだ急に手を伸ばしてきて? 金を取る気か?」
「違うよグラディ! 握手だよ! 握手!」
握手? 言われても分からんもんは分からん!
我は意味が分からぬまま、ミルの手首を握る。
「違う違う! もしかしてグラディ、握手を知らないの?」
神界からは人間同士が争うところしか見ておらんかったから、握手など訳の分からん行動は見たことがない。
「し……知らぬ……」
我が答えると、ミルが我の手を掴み、手のひらを握ってきた。
「グラディ、これが握手だよ。この握手には、よろしくって意味が込められてるんだ!」
ほう、人間は争い意外にも、実に興味深い動きをするものだ!
我もミルの真似をして、ミルの手のひらを握り握手を交わす。
「それじゃあ改めて、これからよろしくね!」
こうして我は、ミルの営む武器屋で働くことになった。
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