第3話 我は武神グラディウスである!

「我を疑うとは大した人間だ! 我の力を見せてやろう!」


 我は武器を司る神、どうせならとことん信じ込ませるために、我の知る最強の武器を出して見せよう。


「はぁぁぁあああ!」


 我は両手から、伝説の大剣『アインシュラーク』を生み出す。


「はっはっは! どうだミルよ! 我の力に驚いたか!」


 あまりの力にミルは声も出せていないようだ。


 それもそうか! 普通の人間はこんな大層な武器など見たこともないだろうからな!


「うわぁぁぁあああ!!!」


 だが、ミルの反応は我の思っているものとは異なった。


「え! これ、かつて伝説の英雄、武神グラディウスが造ったと言われる、『アインシュラーク』ですよね! どんな敵でも一撃で仕留めることができる伝説の武器! 魔力を込めることでその威力は増し、さらに!」


 こいつ、ものすごく詳しいな……


「待て、ミルよ。なぜそんなにもアインシュラークについて詳しいのだ? これは人間界に1つしか与えていないし、ミルのような人間がこれについて知る機会などないはずなのだが」


 我がミルに問うと、ミルは目を輝かせながら我に説明する。


「そうですね、僕は武器屋を経営しているので、武器には詳しいんです。それに、歴史書を読むのも好きなので、色んな時代の武器を知ってるんですよ」


 ほう、珍しい人間だ。武器に詳しいとは、我と相性が良かろう。


「それにしても! どうやってアインシュラークを出したんですか!?」


 ミルが我の力を不思議そうに思いながら問うてくる。


「だから、我は武神グラディウスであると言っているだろう!」


「またまた〜! 冗談は良いですって!」


 ぐぬぬぬぬ! なぜ伝説の大剣を手から出したというのに、ここまで我の存在を信じぬのだ!


 アインシュラークぞ!? 今我が出してしまったせいで、この世界に2つになってしまったではないか!


 アインシュラークを出してもなお、我の存在を信じていないのだ。証明する方法が我には分からぬ。そこで、我はミルに問う。


「では、どうすれば我を武神グラディウスだと認めるのだ?」


「そうですね〜、人っていうのは、長い間一緒にいないと、その人のことは分からないものなんですよ」


 う〜む……人間というのは難しい生き物だな。


 伝説の大剣を生み出しても信じぬというのに、長い間ともに過ごせば人間のことが分かるというのか?


「面白い! まずは貴様に我の存在を認めさせ、人間界に我の存在を広めた後、神界への帰還を果たしてみせよう!」


 待っておれよデウス……我は我の力のみで、神界へと帰り、貴様を驚かせてみせよう!

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