第2話 可愛さはすべてを解決する
ガラガラ、と部室の扉を開け、入ってくる一人の男 ー
「あれ?藤堂君もこの部に入部するの?」
と
それはともかく、なぜこんな状況になったのかを説明しよう。答えは簡単:ゲーム通りに数日過ごしたからだ。
この高校は部活動必須だ。よってどこかへの入部はしなければならない。ゲーム内では、
しかし、ぼっちな彼は知らなかった。この高校のこの部活は、変わり者しかいないのだ。そして、いろいろな経験を通し、恋愛も発展していくわけだが・・・誰がそんなこと許すか。絶対に
僕がいることに気付き、驚く
「永山?」
「あっ、名前覚えててくれたんだ!うれしい!」
満面の笑みで返す。
「お―っ!新しい入部希望者かい!?」
そこに、部長の
「まあ、そんなところです」
「いやあー、うれしいねえー!この部活、部員がちょー不足しててねー」
普通に返す
”そうそう、こういうやつが一番信用できねえ。経験から語ると、いじめの存在を完全に無視するタイプの人間だ”
と考えている。今後、その考え方は変わっていくわけだが、恋愛だけは絶対にさせねえよ。
「じゃ、そういう事で」
入部届を部長に渡し、部室の端の窓側 ー 簡単に言うと「一人にしておいてくれ」という雰囲気の場所 ー の席に座る。
僕と全く会話もせずに、である。まあゲームでもそうだからそりゃそうなんだが。
ということで僕はまっすぐに
「藤堂君も地歴部に入るんだね!最初、一年が僕しかいなくて焦ったよー」
そして
「なんで俺に話しかけてくるんだ。前助けてもらったのは分かるし、お前が男だということも分かるが、それだからと言って俺は人と友好関係を結ぶつもりは無い。他の部員と仲良くしとけ」
と言う。
「え、でも・・・さっき言った通り、一年の部員って僕と藤堂君しかいないし・・・」
と困った感じで返すと、
「そうか。じゃあクラスの友達と仲良くしとけ」
と無関心な反応をされる。さて、ここからが最重要ポイントの一つだ。
「言いづらいんだけど、僕、男なのに女の子に見えるからあまり同性となじめないだ・・・だから・・・」
「同じくぼっちそうに見える俺と仲良くなろうと?ふざけてるのか、お前」
このセリフを言われる立場になると、なんか腹立つな。でも我慢だ我慢。
「そ、そうじゃないよ!ただ・・・前、体育の時に普通に僕と話してくれて、うれしかった・・・」
最後の方は少し恥ずかしそうに言う。可愛さの演出である。
そして、体育の話は、確か二日前の出来事だ。
内容はこう:二人ペアで体育をやれと言われ、
余談だが、あまりそこの立ち回りは難しくなかった。
「あれは・・・普通に俺の性格があんな感じなだけだ。別にお前を友達として扱ったわけじゃない。だからさっさと友達でも作れ」
少し顔を赤らめながら、つまり
「その作る友達って藤堂君じゃダメなの?」
「だから、俺は人と友好関係を結ぶつもりは・・・」
少し気持ちの揺らいだ
「仕方ねえな。友達になってやるよ」
「やったー!ありがとう!」
やはり可愛さはすべてを解決する。知ってあんまり嬉しい事じゃないと思うが。
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