ラブコメの男の娘枠に転生したので、原作知識で主人公を好き放題に攻略してみる
猫だよ
第1話 男の娘枠とは、ある意味最強で、ある意味最弱だ
「恋愛?くだらん」
学校からの帰り道で、俺はそう考える。
知り合いに彼女ができたそうだ。
正直言って、リアルの恋愛とはつまらない。よくゲームとかで”日常”というテーマのものがあるが、あんなもの”非日常”だ。そんな都合よく物事は起きないし、恋愛なんぞ発展しないし、ハッピーエンドなんて来ない。
もうすぐ家か。じゃあ、今日も適当に余暇を過ごすとするか。
「あれ?」
家までの道で最後の曲がり角。あとは俺の家が見えてくる・・・はずだった。
「なんだこれえええええ!??」
そこにあったのは俺の家じゃなかった。というかそこにいたのも俺じゃなかった。自分の声も服も全部違う!なんだこれ?
振り返るとさっきの曲がり角もない。
マジでどうなってんだ。
◇◇◇◇
あれから一週間ほどが経った。どうやら、俺はラブコメゲームの「男の娘枠」に転生したらしい。
しかも、俺が知っているゲームの、だ。
「
「はーい!」
転生したキャラの名前は、
大事なのは、このゲームに「心羽ルート」が存在することだ。
そう、つまり簡単に言うと、
「あの腹が立つモテモテ主人公を思いっきり正規ルートから外してやる!」
ということができる。しかもこの世界で今は高校入学直前の春休み!準備時間がちゃんとある!
なんでその主人公役をプレイした俺が主人公に腹を立ててるかって?そりゃ現実の自分と照らし合わせたら殺意がわいてきたからに決まってんだろ。
男の娘枠に転生した時点で、まともな恋愛ができる気がしない。ならば、完璧な計画であいつも道ずれだ。
そんなことを考えながら、俺は自室から出て、台所に向かう。なぜ元の世界より朝飯がうまいのだろうか。俺が基本菓子パンしか食っていなかったのが悪いのか?
「おはよう、
「お母さんおはよ!」
これが今の俺の母親だ。なんだ、まあ、普通の母親だ。だが朝ごはんを作ってくれるし、前の世界の母より良いかも。別に母親が嫌いだったわけじゃないが。
それにしても、やっぱりこの体は相当可愛い声が出るな。面白い・・・と感じた俺は狂っているのか。
椅子に座り、朝ごはんを食べながら俺は部屋から持ってきたノートを開く。
”春休みが終わるまでのやることリスト”
表紙だけ見ると、普通のやることリストだ。だが中身は完全なる「男の娘枠キャラ:
”1.しゃべり方を整える”
まずはこれだ。男の娘キャラの一人称は、「僕」が定番だ。ゲーム内での
今のところ、
では、心から変えてしまえば良いのでは?自分の脳内でも、「僕」という一人称を使えば簡単になるかもしれない。
よし、じゃあ今後はそうしてみるか。
”2.可愛い顔をできるようになる”
「鏡の前で練習する・・・か」
小声でそう呟く。
”3.可愛い仕草を自然と出せるようにする"
これに特に問題は無い。転生してから最初にやったことだ ー なんか面白かったから。
"4.買い物のセンスを心羽らしくする”
これが一番困るかもしれないな。センスとは変えづらいものだ。ということで、原作情報を利用しまくるつもりだ。「
さてと、とりあえずこんな感じだな。やはり1と2に力を入れる必要がありそうだ。
◇◇◇◇
時が経つのは早く、もう入学式が来てしまった。つまり、主人公 ー
「よく我が校に・・・」
本当にどうでもいい校長のスピーチを聞き、その日は終了。教室で、クラスメイトは帰る準備をしている。
だが、僕はここからだ。ここから、
このゲームの主人公は結構病んでいる。非常に暗い、というか面倒くさい性格をしている。
「
だからこそ、序盤の立ち回りは考えなければならない。絶対に
僕はゆっくりと、どう見てもぼっちな
「ねえこれ、さっき落としてたよ?」
ゲーム通りのセリフだ。入学式があった体育館からクラスへの移動で、
「お、おう。助かる」
僕のことを一瞬見てから、すぐに目を背ける。この時の
”え?誰だこれ可愛いすぎないか?”
だ。だがそれと同時に、不審の目を向けてくる。
序盤はこんなやつでも、後半でなぜかモテていく。それを阻止するのが僕の目標だ ー 無論、どう考えてもただのひねくれた奴の思惑なのは十分理解している。
「僕は君と同じクラスになった
カワボって素晴らしいな、本当に。
「お、おう」
「うわっ?」
そして、
よく考えるとコイツ運動神経終わってるな。
◇◇◇◇
場所は保健室。僕は保健室の先生(名前が分からん)を呼び、
「う、頭がいてえ」
どうやら目覚めたようだ。
「気付いた?藤堂君」
優しく(見せかけた)声をかける。
「俺は・・・?」
「えーっと、ちょっと言いづらいんだけど、君、教室出るときにつまずいて、頭を打って失神したんだよ」
驚く
「嘘だろ!?」
こっちのセリフだよ。
「ま、まあ、誰にだって失敗はあるよ!あんまり気にしないで!」
と僕は慰める。
この時の
”やってしまった・・・新しい学校生活の初日で一番やってはいけないことを俺はしたようだ。その名も、目立つこと。こんな美少女が俺を心配してくれたことは不幸中の幸いというかなんというか”
完璧にゲームと同じように進めているから、こうなっているはずだ。
「その、永山さん、ありがとう」
ベッドから起き上がり、彼は言った。
「なんでもないよ。あと、君が良いなら僕のこと、
「いや、女子をそんな親しげに呼ぶなんて・・・」
そして、ここで衝撃の事実。
「え?僕男だよ?」
「え」
僕はできるだけ、不思議そうな顔で
「え、マジで男なのか?お前」
「そうだけど・・・どうかした?」
嘘だろという表情で
「まあ大丈夫みたいだし、僕はこれで帰るね」
一日目はこれで終わらせる。ここで変にゲームでの行動以外をすると、「
ゲーム内で男の娘枠と進むルートは、最も入りやすいが、最も出やすいものだった。その点には注意しなければならない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます