第十四話: 雪の日の集い
フィオがエルム村に来て初めての冬。村の人々は、雪の日を特別なイベントとして楽しむ習慣があると聞いた。今日はその「雪の日の集い」が開かれる日。朝から村全体が活気づいており、広場にはたくさんの人が集まっていた。
ミナがフィオを迎えに来て、広場へ連れて行く。フィオが目を見張ったのは、木の枝に吊るされた無数の雪の結晶の飾りや、焚き火の周りに並べられた温かそうな料理の数々だった。
「これ、全部手作り?」とフィオが尋ねると、ミナは笑顔で頷いた。「そうだよ。村のみんなで作るんだ。これが雪の日の集いの一番の楽しみだからね。」
村の中央に大きなテーブルが置かれ、そこには冬の名物料理がずらりと並んでいた。スノーバウンドキノコのスープ、甘い焼きリンゴ、ホカホカの蒸しパン――どれもフィオが見たこともないようなものばかりで、彼女の期待は膨らむばかりだ。
「フィオ、まずはこれを試してみて!」とミナが手渡したのは、白い雪玉のような小さな菓子。口に入れると、ほろほろと崩れて甘みが広がった。「これ、美味しい! 何ていうの?」
「スノードロップクッキーだよ。雪の日には欠かせないお菓子なんだ。」
その後、フィオは他の村人たちとも自然に打ち解けていった。村の長老が雪の日の由来を語り始めると、みんなが静かに耳を傾ける。雪の日は、冬の厳しさを乗り越えるために協力し合うことを思い出すための大切な日だと話す長老の言葉に、フィオは心が温かくなるのを感じた。
夕方になると、子どもたちが雪だるま作りに夢中になり、大人たちは焚き火を囲んで談笑を始めた。フィオもミナと一緒に雪だるま作りに加わり、小さな帽子を載せた可愛い雪だるまを完成させた。
「フィオ、今日は楽しい?」ミナが尋ねると、フィオは頬を赤らめながら頷いた。「すごく楽しいよ。こんなにみんなで一緒に楽しめるなんて、都会じゃ考えられなかったから。」
夜になると、焚き火の火がさらに大きくなり、村全体を暖かく照らした。空には満天の星が輝き、雪の白さを引き立てる。村人たちは歌を歌い始め、その輪の中にフィオも加わった。
歌声が響く中、フィオは心の中で小さく呟いた。「ここに来て、本当に良かった。」雪の日の集いは、彼女のエルム村での新しい生活を祝福してくれるような、素晴らしい時間となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます