帰り道は神獣にあたる
白千ロク
本編
『いまお帰りですか主様ぁ!? ワイトも一緒に帰りますよぉ!』
大学帰りにラブラドールレトリバーのような大きさの真っ白い犬――正確には神獣たる狼――がじゃれついてくるのは日常茶飯事。たとえ電信柱に隠れていても、大部分が見えているから意味がない。それに尻尾がめちゃくちゃ振られているから、機嫌がいいのもすぐに解る。おかしいな。神獣の威厳はどこにいったんだろう……。
女神様に導かれて勇者として世界を救ってから二ヶ月が経った。季節は冬となっている。凡人のオレを選んだ女神様の思惑は未だに解らないが、オレでも世界を救えたんだから誰でも出来そうではある。もちろん、授けられた能力と仲間にかかってはいるだろうが。オレも優秀な仲間たちがいなかったら無理だったからな。
『やり遂げたら日本に帰れる』という約束通りに日本に帰還したのはいいんだが、なぜか神獣も一緒についてきてしまった。この子は女神様から授けられた大事な相棒ではあるが、帰還する時にはちゃんと別れたんだよ。最後だからと頭や腹を撫でまくってやったわけだ。それなのに、神獣――白銀だからホワイトからとってワイトと名付けた――は、『ワイトはずっとずっと主様と一緒ですよぉ!』と尻尾を振りまくった姿で目の前にいた。四メートル近い狼は通報されかねないので、大型犬のような大きさになってもらっていまに至る。ちなみに、ワイトの好物は高級ビーフジャーキーだ。高級だからたまのご褒美である。
散歩はひとりで勝手に行っては帰ってくるので、散歩の手間がないのはいいことになるか。その散歩の帰りに毎度毎度通学路に現れるのだから律儀だよな。
「今日はなに食べようか?」
二、三度頭を撫でてやると、ワイトは『ワイトはあんまんが食べたいですぅ!』と答えた。
はい、決まり。今日はあんまんを買って帰ります。ワイトが間食のお蔭でムチムチになる日も近いかもしれない。
(おわり)
帰り道は神獣にあたる 白千ロク @kuro_bun
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