プロローグ(裏)

 石神 玲人を追い出したパワーキャラの大熊 忠広が部屋に戻って来て言う。


「しかしこれでよかったのか? 俺たちはこれから四天王の一角を失うことになる」


 それに対し、データキャラの毒谷 雄大が銀縁の眼鏡をクイクイさせる。


「心配ないだろう、奴は四天王の中でも最弱……もとよりあの先輩の埋め合わせだしな」


 さらにイケメン四天王のリーダー格、猿ヶ島 高治が偉そうに足を組みかえて言う。


「そうだな。それに、あいつの代わりはすでに見つかっている。おい、入ってきていいぞ!」


 高治が扉に向かって呼びかけると、1人の男子生徒が入って来る。


「1年、円藤えんどう 春馬はるまです。どうぞよろしく」


 春馬の登場に、室内には歓喜の声が上がる。春馬は石神 玲人と同じくらいの背丈をした1年だ。


「おぉっ、イイ感じのクール枠って感じだな」


「石神のやつよりよっぽどイケメン四天王の一角をまっとうしてくれそうだぜ」


 毒谷 雄大と大熊 忠広の感想に胸中でほくそ笑む春馬。


(へっ、こいつらほんとアホだな。石神 玲人をおとしめたのは俺だよバーカ! こんな単純な工作で引っかかるとはな)


 玲人に冤罪をかけて四天王に成りあがった春馬も。玲人を冤罪で追放した四天王も知らないことだろう。


 これからイケメン四天王の信用は完全に失墜し、むしろ追放された石神 玲人が学校中の美少女……それも美少女四天王も含めた校内の人気な女生徒全員からモテ始めてしまうことなど――

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