第3話 転生
惑星【ステゴロ】にある中央大陸の王国、【マーシャルアーツ】のジョートー伯爵家に男児が産まれた。
当主であるジョートー・コイヤは産まれた次男に【ケンカ】と名付けた。
ケンカは病気一つせずに三才まで順調にすくすくと育っていた。
「ヤルカ兄様、僕と手合わせをお願いします!」
「うーん…… ケンカ、でもね僕は十歳でケンカはまだ三才だから…… ケンカが五才になるまではダメかな」
「そこを何とか!」
「いや、僕が父上と母上から叱られてしまうから、ゴメンねケンカ」
「そうですか…… ヤルカ兄様が叱られてしまうんじゃ無理は言えないですよね……」
「ケンカは本当に三才かい?」
などと兄弟のやり取りもあったり、
「ケンカ、今日は何をする?」
「サンカ姉様、今日はこの木にコレを巻いて叩く練習です!」
「面白そー! 私もやって良い?」
「勿論です、サンカ姉様。一緒に頑張りましょう!」
と姉と一緒に木に座布団を二枚、侍女に頼んで巻きつけて突きの練習をしたりしてすくすくと育っているケンカ。
ケンカは地球では考えられなかった家族の愛情を一身に受けて幸せを感じていた。
そして、魔王などにこの幸せを壊されてたまるかという強い気持ちが生まれていたのだった。
ケンカはすくすくと育ち五才となった。兄のヤルカは十二才、姉のサンカは八才である。
ジョートー家の
ケンカは始めて己の自己流以外の喧嘩術を学ぶ事となった。地球で
講師はジョートー家に所属するラントー
「それではサンカお嬢様、ケンカ坊ちゃま、ジョートー流武術の基本稽古を今から始めます」
「はい! 師匠!」(ケンカ)
「お願いします!」(サンカ)
「し、師匠! 遂に私もそう呼ばれる日がやって来た! 思えば苦節十八年…… 雨の日も雪の日も休まずに基本稽古を繰り返し……」
「師匠! 戻って来て下さい!」
ケンカの言葉にヤルゾーは正気に戻った。
「ゴホンッ、失礼しました。それでは私めを真似て下さい。突きから始めますぞ! いち!」
ヤルゾーの突きは風を切ってヒュンッと鳴る。
しかし、サンカとケンカの突きは突風を生み出した。
「「いちっ!」」
ブオォーッ!!
「ウオオォーッ!?」 ドゴーンッ! 「グハァーッ!!」
真正面にいたヤルゾーは吹っ飛んでいく。そして屋敷の壁にぶち当たって止まった。
「「し、師匠ーっ! 大丈夫ですか!?」」
「グッ、グフッ! み、見事な突き、で、した…… ガクッ……」
ヤルゾーが師匠だった期間はわずか五分であった……
「無理です! 私にはお嬢様もお坊ちゃまもお教えする事は出来ません!!」
ヤルゾーは主人であるコイヤにそう泣きついた。
「ううむ…… まだ八才と五才だぞ…… まさかそんな事が……」
そこにコイヤの妻であるテキーラがやって来る。
「あなた、話は聞きましたわ。ワタクシがヤルカと一緒にサンカとケンカをみますわ」
「テキーラ、頼まれてくれるかい? 私は魔獣討伐で忙しくてね。今日もボアを八体狩ってきたのだが、まだ群れが数多くいてね」
「ええ、あなた。ワタクシに任せて」
こうして、母のテキーラに稽古をつけて貰う事になったサンカとケンカ。兄であるヤルカも一緒なのでとても喜んでいた。
「ヤルカ兄様、やっと手合わせをお願い出来ますね!」
「ダメよ、ケンカ。兄様とは私が先に手合わせするのだから!」
「アラアラ、二人ともまだダメよ。基礎が出来てないんだから。先ずは母の突きを避けられるようになってからよ」
テキーラはそう言うなりケンカに拳を振るった。
ブオンッ!!
「ウワッ!? 母様、す、凄い突きです!」
反射的に避けたケンカ。それが悔しかったのかテキーラは
「本気では無かったけどアレを避けちゃうのね、ケンカ。それじゃ母も少し本気で行くわよ!」
「ワーッ、ダメです! 母上、ケンカが死んでしまいます!!」
慌てて止めるヤルカであった。
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