第2話 喧嘩領域とは


 その熱くたぎった血のおもむくままに上棟は尋ねた。


「その喧嘩領域バトルフィールドっていうのはどんなギフトなんだ?」


『フフフ、気になったようだね。説明しよう! 【喧嘩領域バトルフィールド】とは、人だろうが、魔物だろうが、魔王だろうが、そして神であろうが、人の身に落とされて君と素手で対峙たいじさせられる領域フィールドを作り出すんだ! そこでは君が地球で喧嘩の時にもうけていたルール、【素手】が絶対条件となり、参りましたと相手に言う、又は気絶、又は死亡により勝ち負けが決まる領域フィールドだよ。そして、これが利点だけどその領域フィールドで対戦が終わり領域解除フィールドリリースすれば対戦相手は本来の姿、魔物なら魔物に戻って生きているんだ。しかしながら対戦相手に負けたのは分かるので絶対服従となるんだよ。どうだい、君向けの祝福ギフトだろう?』


 創造神の説明を理解した上棟は言う。


「人の身に落とされるって言ってたが、例えばその魔物とやらが本来持っていた牙や爪なんかはどうなるんだ?」


『人の身に落ちるって事は、人の身と同様になるから牙や爪は無くなるよ。但し、鬼人のように半人については牙や爪は無くなるけれども角は無くならないからその点は注意が必要だね』


「それは半人のみの事か?」


『そうだよ。例えば羽人うじんは背に羽を持つけれども喧嘩領域バトルフィールドでもその羽は無くならない。けれども、人の身となるから自由に空は飛べなくなる。ただ、羽ばたけば滞空時間は普通の人よりも長くなるね。そんな感じかな、分かったかい?』


「分かった。良いだろう。地球で千勝無敗の俺が違う星でまた千勝を上げて見せてやるよ!!」


『その気になってくれたようで良かったよ。それじゃ祝福ギフト喧嘩領域バトルフィールドで、技能は完全言語理解(魔力消費無し、常時発動)と収納(入庫時に魔力消費10、出庫時は魔力消費無し)と成長促進(魔力消費無し)を付けよう。後、さっきも言ったけどレベルがある世界だからレベルはしっかりと上げて魔王に挑んで欲しいな。君が産まれて十八年後に魔王の封印が解けるからそれまでにせめてレベル50には上げててね。それじゃ付与するよ、エイッ!!』


「おお! 何だか身体に何かが入ってきた感覚が!」


『無事に受け取ったようだね。それじゃ君はこれから転生だ』


「ちょっと待った!!」


『うん? 何だい?』


「本当かどうか試させて貰う。【喧嘩領域バトルフィールド】!!」


『うえっ! 何て事をーっ!! 今の君は転生前だからレベル概念が無い! つまり神と同様なんだよ! それを僕で試すなんて!!』


「安心しろ。あんたの説明が正しいなら解除すれば無問題モーマンタイだろ? 行くぜっ!! オラァーッ!!」


『ヒィーッ! ぼ、僕は人の身であった時でも殴り合いなんてした事無い! グボラバァーッ!! 参ったーっ! 参りまひたーっ!!』


【敗北宣言が有りましたので領域解除フィールドリリース致します】 


 どこからか響くその言葉と共に喧嘩領域バトルフィールドは解除された。


 上棟の目の前には先ほど領域フィールドで殴られて頬がれ、前歯が何本か折れていた筈が無傷の神が目の前にいた。


『うう、非道いじゃないか…… これで僕は君に絶対服従しなくちゃならなくなってしまった…… 創造神なのに……』


 そう言って泣く創造神に向かって上棟は言う。


「そうか、俺に絶対服従か…… ならば命令しよう! これまで通り俺に服従する必要は無い!! 創造神としての役目を全うしろ!」


 パァーッと創造神の周りが光り消えた。


『おお、良いのかい? さっきまでなら何でも君の思うように僕を使えたんだよ?』


「必要ないな。今のは試しただけだからな。確認は出来た。それでは転生させてくれ!」


 上棟の言葉に創造神は


『うん、分かったよ。やっぱり君は信頼出来るおとこだった。僕の目に狂いは無かったよ。それじゃ、新たな人生を楽しみつつ、魔王の事をよろしく頼むよ!』


 そう言って上棟を自分の創造した星【ステゴロ】へと転生させたのだった。


 

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